新年あけましておめでとうございます。
昨年は、3月11日の大震災以降、私たちがこれまで見てきた世界が全く変わってしまったと言ってもいいほど激動の1年でした。自然に対して人間がいかに無力であるかを思い知らされる一方で、人間には、あるいはこの社会にはこんな力もあるということを気づかされもしました。忌まわしい大震災も呪わしい原発事故も決して過去のことではなく、現在進行形の事象であることは承知しておりますが、今生きている私たちの力によって、新しい年を、そしてこの先続く道のりを希望に彩られたものにすることが、残された私たちに課せられた使命であると感じています。
翻って、この塾に何ができるのか。いうまでもなく、学習塾はお子さんたちに学力をつける道場であり、当座の目標は(小中学生を対象とする我が塾であれば)高校受験を突破することにあります。しかし、高校受験はお子さんにとっては人生の入り口かそのさらに手前のことに過ぎず、最終目標どころか中間目標ですらありません。その目標を達成することだけに焦点を当てたために、その先の希望が見えないということでは、高校受験を突破したことそのものの意味すら失われてしまいます。高校受験を通じてお子さんの手元に何が残るのか、ただ合格という通行手形を残すだけの塾で終わらせたくないし、終わってはいけない、その思いで14年間やってまいりました。
そう書くと、受験を通じた成長とか感動といったドラマチックな話が展開されるのかと想像された方もいらっしゃるかもしれませんが、私の考える「彼らの手元に残すもの」はもっと単純でシンプルなものです。一言で言えば、それは知的に誠実な学習との向き合い方。具体的に言えば、例えばそれは間違いや失敗に正面から向き合うことであり、自分が未知の領域のことに対して注意深く隙を見せない姿勢で臨むことであり、既知であると思っていることに対して絶えず点検と検証を重ねて上書きをしていくことなどです。これらのことは単に学生・生徒の学習・勉強にとどまらず、その後の人生においても重要なポイントになると確信します。同時にそういう誠実さを持った人々の力が、社会をよりよくしていくエネルギーにもなると考えるものです。
この夏、賢学塾は開校15周年の節目を迎えます。15年という私にとっての大きな節目、そして一つの「達成」を越えて、この塾がこれまで以上に,あるいはこれまでとは別な形で、微力ながらどう社会に関わっていけるのか、次の15年を見据えた取り組みをスタートさせたいと考えています。
2012年もどうぞよろしくお願い申し上げます。