もうこれで大丈夫だと思うが・・・
もうこれで本当に大丈夫だと思うが…というか本来ならここまでの合意とそれに伴う制度の整備が夏を迎える前の段階で終わっていないとおかしかったの(つまり通常国会の間に何とかしておけというところ)だが。
最初の合意をしたのが予算審議中の2月だったので、3月までに決めておけとはいわないにしても、参議院選挙もあったにせよ、ちょっと時間がかかりすぎた印象。
高校無償化 自維公、財源に税充当言及 外国人学校は対象外 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20251029/k00/00m/010/364000c
自民、日本維新の会、公明の3党は29日、高校授業料無償化を巡る実務者協議を国会内で開き、詳細な制度設計について合意した。合意文書には「新たに恒久的財源が必要」と明記し、税を財源に充てる可能性に言及した。収入要件を撤廃して授業料を助成する就学支援金では、私立の通信制高校の上限額を年33万7000円とし、日本の高校に相当する外国人学校は対象外とする。
通信制高校、特に広域通信制については一時期「外す」というような意見も出ていたが、最終的には上限額を全日制・定時制よりも下げて対象とすることになった。
しかし今回の「合意」でも必要な財源についての結論は出ていない。
そういう意味ではいぜん未解決の問題が残る決着となった。
そしてさらに気になったのは、受験生には直接の関係はないが私立高校の経営側関係者には大いに関係があるだろう以下の部分。
確かに合意当初にこういうような指摘もあったようには記憶はしているが。
無償化に伴う私立高の便乗値上げを抑止する仕組みづくりを都道府県に促し、整備されない場合は国からの私学助成に要する補助金を減額する。インターネットで一元的に授業料情報を確認できる態勢を国が整える。
岐阜県の私立高校のほとんどは今年度まで今回設定された上限の支援額年間約45.7万円を下回る授業料だった。
そして来年度から上限近く(年間45.7万円÷12≒月額3.8万円)まで値上げすることを既に公表しているところもある。
制度が確定する前のこうした動きが仮に「便乗」と判断されるなら、「それをもっと早く言ってほしい」という関係者の「怒り」を抱えつつ対応を変えないといけない学校も出てくるだろう。
来年度からの就学支援金で高校生のご家庭の「授業料」負担は所得に関係なくゼロ(最大年間45.7万円だが県内の私立高校でその枠をはみ出るところはほぼないはず)になるので、授業料名目での「値上げ」があっても、また仮にそれが認められなくても、各家庭に直接の関係はない話ではある。
だが、授業料を値上げした一方で授業料以外の費用(施設費や充実費など)を値下げして相殺した学校は、仮に値上げが「便乗」と判断されたら相殺は無効となり対応を変える必要が出てくる。
そうなると生徒の家庭にも無関係とは言えなくなる。
また授業料の値上げだけを決めていたがそれが「便乗」と判断されたという学校が出てくれば、(昨今の物価高や人手不足など値上げに踏み切った相応の理由があったはずであり)認められなかった分の穴埋めをどうするかという検討の中で授業料以外の費用に影響してくる可能性はある。
…といろいろ考えてきて、そもそもこの「便乗値上げ」とは何だろうかと考えるとよく分からなくなってきた。
公金から就学支援金が出る「授業料」についてだけでなく、支援金の対象ではない授業料以外の費用も含めてのことだろうか(「授業料」と言っているのだからそれはないか)。
あるいは授業料でも支援金が出る45.7万円の範囲を超える分(生徒家庭の自己負担となる)がある場合の「値上げ」の監視であり、その枠内であれば問題ないということだろうか。
「値上げを抑止する」目的が何なのか(国の財政支出を抑えたいのか、生徒家庭の負担が制度の趣旨通り軽くなることを確実にしたいのか)によって意味するところが全然変わってくる。
それもこの記事だけではよく分からない。
ということで今回の「決着」でも何だかどうもすっきりとはいかないような感じである。
この合意に基づいて文部科学省が行う制度設計が出て来れば分かることなのだろうが。
今回は「外国人や外国人学校をどうするか」という、政治家の関心とエネルギーが注がれているところが「決着」したということなのだろうが、現場にとっては不確実性が残る結果となったようにも思う。
しかもまだ3党の「合意」である。
この3党の組み合わせなら衆参ともに過半数であり国会は通るが、例えば高市内閣が発足直後の今の高支持率を背景に突如解散総選挙に打って出たりしたら、最終的な制度整備はそのあとになって遅れる上、選挙結果によっては想定外の展開もゼロではないという不安要素がまだ残る。
大丈夫だと「思う」と書いたのはそういうことだ。
政界は一寸先は闇、制度がちゃんと本当にできあがるまでは大丈夫だとは言えない(から、くり返しになるが来年からやるんだったら6月までに法整備しておけよと思うのだった)。

