昼休みの間も電話を受けた。
いずれも商業に合格した子たちから。
そのうちの一人は中学と同じ○○部に入ってみようかなと顔を出してみたところ、その場の流れで部の服(ユニフォーム?練習着?)の採寸までしてもらったそうで、明日から練習にも顔を出すそうだ。
何という手際の良さだろう。
商業高校ならではというか。
普通科の生徒にはちょっと真似できないかもしれない。
午後1時。塾に戻る。
まずは塾のホームページに全員合格の記事を載せ、それから2階の掲示を作る。
去年と同じ流れだ。
“公立高校全員合格おめでとう”
のんびりと過ごす、合格発表の午後。
合格報告の来訪は数件あり。
ブログを読んでいる人が意外にいることに驚いたり(塾生のご家庭ほど、ここのサイトは読まれていない印象があったが、実はそうでもないらしい。といって、現塾生に聞いてもここの記事を読んだという話はほとんど聞かない)、
ここに来て、私の前で感極まる生徒がいて驚いたり。
みんな本当によく頑張ってくれた。
最後も最高のかたちで終われた。
こんな年、彼らを送り出したあとは、やりきったという充実感とともに晴れやかな気分になるはずのものだが、今年は寂しさの方が勝っている感じだ。
この学年なら、あと何回受検をやっても、定員オーバーが今年の2倍になっても、必ず成功する。
そう言えるくらい、しっかりした頑張り屋さんの多い学年だった。
塾生たちがお互いを静かに励みにし合っていたことは、今日の話の中でも出た。
こちらが煽らなくても、また表に出さなくても、こうやって刺激しあうのが一番いい。
まさによい仲間に恵まれたということだろう。
こういうのはこちら主導でやってもなかなかできない。
いやむしろうまくいかない。
生徒たちが自分たちで作った空間だ。
私は管理人としてそのお手伝いを担当しただけ。
この学年に関しては、そんな傾向が特に強い。
だから先日、歴代でも指折りの世代になったと書いたのだった。
こんな嬉しい日に、高校に入ってからの勉強が大変であることをやや強調しすぎて話してしまった子もいたが、意は伝わっただろう(と思いたい)。
こんなに頑張って入った高校で、さっそく挫折してしまっては悲しい。
これだけやった子たちだからこそ、高校でも絶対にうまくいってほしい。
いや、うまくやってくれるはずだ。
要領が分からなければ、相談くらいには乗れますといって後ろ姿を見送った。
夜、一人になる。
発表の日は例年通り、授業を入れていない。
明かりをつけ、改めて教室に立ってみる。
もう彼女ら彼らを教えることはない。
近年では“第19期生ロス”も“第20期生ロス”も“第21期生ロス”もあったように思うが、それと同じくらいの、いやひょっとしてそれ以上の“第22期生ロス”が猛烈に襲ってくる。
が、そんなことを言ってる場合ではない。
新しい戦いは始まっている。
先日、第23期生たちの志望校も聞いた。
前を向いて進まなくてはならない。
しかし、今日だけはどうも駄目な感じだ。
残る仕事は切り上げて、さっさと帰宅する。
いつも、ただひたすら前を向いて歩いてきたつもりだが、今宵だけは、ほんのちょっとだけ立ち止まらせてもらうことにしたのだった。