公立高校が塾代を補助!?(岩手県の話)

岐阜県ではなく岩手県の話だが、こういう話もあるということで。


大学進学の塾代を最大60万円補助 花巻市、大迫高への支援強化 https://www.iwate-np.co.jp/article/2025/8/21/186034
花巻市は、生徒確保に向けて大迫高(佐藤宣昌校長、生徒50人)の大学進学支援を強化する。生徒が個別に通う塾や通信教育の受講費を1人当たり年間最大60万円補助。
同校では現在、大学進学を目指し4人が自費で塾に通っており、今後の希望者も含めて負担軽減を図る。


大迫高校は岩手県立高校。
昭和23年創立で70年を越える伝統をもっていると。
つまり戦後新制高校の制度が始まった時期にできた学校ということで、旧制中学等の流れをくむ学校ほどは古くないが、昭和の後半に増えた新設校でもない、歴史のある学校。
そして記事にも「生徒50人」と紹介されているように僻地小中学校並みの小規模校になっている。
要するに存続が危ぶまれているということであろう。
この春卒業した生徒が16名。
3分の1が専門学校への進学、3分の2が就職で大学進学者はいなかったという進路状況が高校のサイトに掲載されていた。

今回のこの支援のお金はどこから出るのだろうと思ったら、地元の花巻市の県立高校存続支援策の一環、つまり花巻市が負担するようだ。
この地域にあてはまれば、たとえば県立海津明誠高校の存続支援を地元の海津市がやるようなものである。
ちなみに海津市は海津明誠高校と今春「包括連携協定」を結んだ
が、具体的にどう支援するのかはこれからのようだ。


岐阜県立海津明誠高等学校と包括連携協定を締結しました | 海津市
https://www.city.kaizu.lg.jp/shisei/0000003649.html
岐阜県立海津明誠高等学校魅力化プロジェクトチームの立ち上げについて | 海津市
https://www.city.kaizu.lg.jp/shisei/0000003849.html
子育て世代の流出につながる地元高校の閉校を避けるため、海津明誠高校の魅力を高め、多くの生徒が入学したい、保護者が通わせたいと思う高校を目指します。


  

岐阜県大垣市の学習塾「賢学塾」です。

  

最初に話を戻して。
岩手県立大迫高校のウェブサイトを見ると・・・


【!】令和7年度 花巻市からの大迫高等学校のための支援について
 花巻市は大迫高校の生徒確保を図るための取組を支援し、大迫高校の存続や活性化に寄与することを目的に、大迫高等学校生徒確保対策協議会へ補助金を支出しています。 その補助金を受け、協議会では令和7年度から追加で「大学等への進学希望者を対象に、生徒が個別に通う塾やオンライン教育受講費用の全額補助(上限60万円)」、「進路等に必要な模擬試験の受験料半額補助(1人あたり上限年6千円)」を行うことになりました。詳しくは、こちらのpdfファイルをご覧下さい。


とあり、PDFを見たらこのほかにも「通学支援」(交通費の半額補助)、「制服購入費の支援」(半額補助)、「各種検定試験受検への支援」(検定受検料や模擬試験受検料の半額補助)、「10日間のオーストリアの友好都市への派遣補助」(4分の3補助)など生徒への具体的で多彩な支援が記載されていた。
それらを地元の花巻市が負担するということである。
ここまでやらないと高校が存続できないということか、あるいはここまでやってもなかなか厳しいということなのか詳しい事情は知らないが、岐阜県で一時検討されていた一部公立高校の「活性化」策というのとはレベルが違うというか次元が違うというかベクトルが違う話ばかりである。
岐阜県で今後始まる県立高校再編統合でも、地元からこういう具体的な支援をするから存続させてほしいという話が出るのだろうか。
特に市や郡で一つだけの高校の存廃は地元にとって重大な問題だろう。
また、そういう支援策つきの要望が出たときに県が応じるのかどうか。
応じるにしても(公立高校の再編が進まない)応じないにしても(公立高校を失った地域社会の過疎化に拍車をかける)先行きは厳しく、Win-Winというわけにはいかない未来が待っている。

厳しいとしか言いようがない。

 

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