限界大学:18歳人口減ったのに…膨張続けた私立大 背景に認証制度の形骸化 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250725/k00/00m/040/357000c
18歳人口は減っているのに、私立大の数は一貫して増加傾向にある。その背景には、大学進学率の上昇だけではなく、国による政策がある。
これらにより90年に372校だった私立大数は23年には622校まで膨れ上がり、定員の合計は初めて50万人に達した。
少子化が進んでいたこの30年余りで私立大学が372校→622校になっていたというのには改めて驚いた。
いや、増えていることは知っていたのだが、こうやって数字を並べられて改めてその異常な増加を認識したのだ。
私立大学だけではない。
公立大学も増えている。
30年余りで公立大学も倍増している(約50校→約100校)。
公立大学に関しては新設だけでなく、短大や専門学校から大学に衣替えしたところや、もともと私立だったものの経営を引き受けたものもあるが、いずれにしろ子どもが減っている中で随分増えた。
「増えすぎた」といってもいいだろう大学。
この30年間、大学進学率の高まりに対応してきただけで増えすぎたとは必ずしも言えないという立場の人でも、これからのさらなる少子化の中でこの数が多すぎるのではないかと多くの人が思っているのではないだろうか。
その一方で、急速な少子化を受けて18歳人口は92年の205万人をピークに減少。24年は106万人とほぼ半減した。
大学進学率の上昇で進学者の数は微増傾向を維持していたが、文科省は26年をピークに減少局面に入ると予想。24年に約63万人いる大学進学者数は40年には推計約46万人と約17万人減る見通しで、現在の入学定員が維持された場合、約3割が埋まらなくなる計算だ。
私は高校入試を取り扱っているから、最近このあたりで目立つ「公立高校の定員割れ」の話ばかりを書いているが、大学入試では高校入試と違って私立大学のほうが圧倒的に定員が多く、その私立大学で定員割れが年々深刻化している。
当然ながら、不人気校(地方の小規模な私立大学に多い)から順に淘汰されていくのだろう。
若者がまちから消えればその地方にとって痛手だ。
大学そのものの廃校ではないが、移転統合でキャンパスが消えて影響を受けているまちは県内でもすでに存在している。
こういう状況で人気を維持するために、著名な大学でも大都市の中心部への再移転に熱心だ。
郊外移転がさかんだった昭和の時代とは逆方向の流れがだいぶん前から進んでいる。
こういうところでも地方はどんどん疲弊している。