県知事が定例記者会見で国がぶち上げた「デジタル併願制」構想について話していると聞いて知事の記者会見録を見てみた。
知事記者会見録(令和7年4月30日) – 岐阜県公式ホームページ(広報課)
記者
公立高校の入試を巡って、1つの公立高校しか受験できない「単願制」の見直しに向けた政府の検討が始まっています。生徒の進路選択の幅を広げるために、複数の学校に順位を付けて志望できるような、「併願制」といったものを有識者が提案されていると聞いていますが、「単願制」の見直しとか、そういったことに関して、岐阜県は今「単願制」を採用しているかと思うのですが、知事のお考えがあれば教えてください。
知事
私としては、まずそういった議論がされることは良いことだと思っております。子ども達にとって、人生の選択を考える時に、いろんなチャンス、特に一発勝負だと、その時の体調によって本当に人生が変わってしまうかもしれないということがある中で、いろんな選択があることは良いことだと思っています。他方で、選択肢があれば良いかというと、結構受ける方にしても大変だったりするので、いっぱい受けなければいけないとか、「お前は第1志望だったのか。」とかどうのこうのという議論をすること自体も、それはそれで一つの人生かもしれませんので、世の中の大きな流れをまずは見極めた上で、岐阜県としてもどうするかが1つ。もう1つは、私立高校との関係で、今回、授業料が実質無償化になる中で、そこはそこで同じような選択肢も増えてくるというか、これは県の中だけに留まらなくなってくることなので、その中でそれが県立高校の魅力度アップなのか、受験方法を変えることによって魅力が上がるのか、それよりも高校そのものとしての魅力を上げていくという議論も同時にやらなければいけないかなと思っておりますので、その上で、子ども達が人生を考える選択肢が適切に提示されることが大事かなと思っています。
例の「デジタル併願制」について、これを読むとあまり前のめりにはなっていないように思うが、それ以前に知事が県立高校の入試制度云々についてあまり関心がないのかもしれないと思った。
入試制度をいじるよりも県立高校の活性化その他のほうに関心があるという感じだろうか。
政府がこの前検討を指示したという併願制は受験機会の複数化ではなくて、1回の試験で複数高校を順位をつけて志望できるしくみだと思うが、一発勝負云々のくだりは、どうも知事がこの検討されているという新しいしくみを誤解しているのか、あるいは記者の訊き方が「単願制の見直し」について考えがあるかという言い方だったから、それに引きずられたのか、どっちかだろう(この文字起こしだけ読んだ感想。会見動画は見ていない)。
「お前は第1志望だったのか」云々のところは知事個人の少年期の体験と重なっているのかもしれない。
知事が高校受験をしたころは学校群制度だったはずである。
知事は加納高→東大卒。
知事がどうだったのかは知らないが、学校群制度の時代、加納高校に入りたくて入れたという人もいれば、岐阜高校に入りたかったのに加納高校に入ることになった人もいたという話である(私が高校生のときの国語の先生が加納高校卒でそれを指摘していた遠い記憶。先生はお元気だろうか)。
例の「併願制」が導入されたとして第2志望にまわる生徒の気持ちも分かるからなあという心情吐露だろうか。
もっとも、学校群制度では入る高校は実力で決まるのではなく、自分ではどうしようもない振り分けで決まったのだから、そういう意味では違う面もある。
・・・という具合に、どちらかというと知事個人の経験から来る(?)思いを語っている感じだ。
国レベルで「検討指示」があったばかりなので当然だが、つまるところ県ではまだ何も考えていないということだろうか。
こんな記事もある。
「偏差値重視」強まる恐れ、公立高入試「単願」政府見直し検討 岐阜は併願導入に慎重|岐阜新聞デジタル
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/536525
慎重ということらしい。
前も書いたが、岐阜県はその前にやらなければならないこと(先送りしてきた県立高校の再編統合)が待っている。
先日書いたように中部各県の中で定員割れした公立高校の割合が最も高いのである。
公立高校の再編のほうに専念させてよということかもしれない。
さて、今後どうなるか。