先週金曜日に中学校での掲示で「先行公開」され、月曜日にネット上に掲載された、先日の岐阜県公立高校への進路希望状況・最終回(進路希望調査結果)の話。
金曜日に記事を書いたとき「こんなことを書いたけど今日中に出してくれるといいな」という思いもかすかにあったのだが、見事に裏切られてしまった。
あの日、ウェブサイトが更新されたと思ったら出願期間の集計結果の公表スケジュールが載っていた。
今この瞬間にそれですか?という…
来週(つまり今週)出すのか、そもそも出すつもりがないのかとやや疑心暗鬼になっていたら結局月曜日に掲載されていたわけだが。
「結局出たのだからいいじゃない」「お前の疑心暗鬼なんかどうでもいい」と言われそうだが、迅速に積極的に広く情報を出さないこういう姿勢が、他のことも含めて根拠のない憶測を呼びデマを呼び、疑心暗鬼に駆られる人々の心の隙間に入り込んで県教委や行政全体への信頼度の低下につながることは強く言っておきたい。
この先あるだろう公立高校再編に向けて県民社会の理解を求めるにしても、なるべく知らせたくなさそうにみえるこういう姿勢では、なかなか理解もとりつけられず難航するかもしれない。
県教委にとっては「たかが進路希望調査の結果」なのかもしれないが、中3生とそのご家庭にとっては大きなことなのである。
現にその「壁新聞」を見られずに帰宅し、先週末じっくり家庭で相談する機会を奪われた生徒もいたことは、先週土曜日に書いた(結局、塾に来ている弊塾生には影響はなかったが)。
そういえば少し前にこんな新聞記事もあった。
大分の県立高、推薦入試で特定受験生に加点 部活強化へ中学生リスト化 | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20250121/k00/00m/040/334000c
大分県内の県立高校が2023年に実施した推薦入試で、部活動を強化するため、事前に有力な中学生をリストアップし、入学の意向を示して受験した場合には一定の得点を上乗せして合格に有利な扱いをしていたことが、文部科学省への情報公開請求や県教育委員会などへの取材で分かった。外部からの通報で事態を知った文科省は県教委に対する調査を実施し、24年に「不適切な運用」として改善を求めた。
県教委も取材に対し、「推薦入試の裁量は学校側にあるが、公表していない方法で選抜していたことは、不適切で妥当性に乏しかった」としている。県教委は文科省の指摘を受けた後、県立の全高校に対し、明確な選抜基準に基づいて適切に推薦入試を運用するよう注意喚起した。
部活などの実績を評価する県立高の推薦入試は、例年1月に願書などを受け付け、2月に面接や小論文による試験を実施する。面接や小論文の得点に、中学校長が提出する調査書と活動実績を点数化して加えた合計点数で合否を判定している。
文科省や関係者によると、この高校では23年の推薦入試に向け、校長が内部で「強化部枠」の部活を決定。強化部に指定された部活の顧問は、示された人数枠に沿って全国大会出場など実績のある中学3年生をリストアップし、高校の校長が中学校長を通じて生徒の入学意向を確認していた。
リストアップされた生徒が入学の意向を示して推薦入試を受験した場合には、他の受験生には与えない「総合評価点」を一律に30点加えていた。この高校の推薦入試の合計点数は110点で、うち3割近くに当たる得点をリストアップされた生徒にのみ与える運用だった。
23年の推薦入試は約40人の募集枠に対し、約50人が受験した。「強化部枠」は募集枠の約9割を占め、結果的に、受験した生徒全員が合格したという。
外部通報で事態を知った文科省は県教委に対する調査を実施し、こうした運用がされていた事実を確認。23年の入試実施要項は、推薦入試の選抜方法を「調査書、推薦書、面接、小論文の結果を資料として行う」としていることに照らし、この高校が特定の受験生に総合評価点を一律に付与したのは「実施要項における選抜方法を逸脱する行為」と指摘した。
また、募集枠の約9割を強化部枠として優遇する運用は公表していないことから「公平・公正に評価してもらえるであろうという(他の受験生の)期待に背くものだ」として不適切と判断し、24年1月に県教委に改善を求めた。
大分の県立高推薦入試で優遇 県教委「本当に不適切」も謝罪はせず | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20250122/k00/00m/040/300000c
引用が長くなったが、一言で雑にまとめれば推薦入試の選考基準が不当で不透明だということのようだ。
今の岐阜県の公立高校入試制度でいえば、独自検査を使った枠(以下、「独自枠」とする)の運用が適切かどうかという話になるのだろう。
岐阜県では独自検査の出願要件として各高校が強化したい部活動などが個別に列挙されており、求められる成績についても具体的に記載されているところも多く、この事例とは少々異なるかもしれない。
が、複数の部活動が同じ枠の中の要件に列挙されている場合、その中でアクセントをつけているのかどうかは不明だ。
また部活動で独自枠を使う場合に調査書や学力検査の成績がどの程度関係あるのかは、「標準検査及び独自検査の結果に基づいて、総合的に審査」(令和7年度岐阜県立高等学校入学者選抜要項より)という言葉で包まれている。(ここで私がどうこう語っても、それはすべて経験的な憶測でしかない。)
弊塾の情報サイトkengakujuku.netは、私が噂・伝聞で聞いたことや想像したことなど根拠のない(あるいは根拠の曖昧な)情報は避けて、公式の公開情報や先例などにもとづく客観的な情報を載せることに努めてきた。
結果的に味気ない、「入試について深淵まで詳しく知りたい」と思う人の欲求は満たしていないだろうサイトになっているが、それがデマを流さないための基本的な姿勢である。
それ以上知ることができないのはそれ以上のきちんとした公開情報がないからだ。
さっさと公開できるものはさっさと公開したほうがいい。
情報公開は時代の要請であり、デマが氾濫し容易に拡散される今の社会にとってより重要であることを県教委はもっと認識してほしい。
隠す「つもり」がなくても結果的に隠しているように見えたらおしまいなのである。
日頃、情報公開に積極的に努めている姿勢が見えていれば、「隠すつもりなどないだろうが、公開できないいろいろな事情があるのだろう」と擁護する意見も出てくるかもしれない。