賢者の石の今昔物語

賢者の石(前も紹介したが弊塾の岐阜県公立高校入試「編別」過去問題集)を配るようになってもう15年ぐらいは経つか。
それ以前は似たような構成の「公立入試パターン集」という業者が作った本を買っていた。
オールドな卒塾生にはそっちの方がなつかしいかもしれない。
あの当時の生徒には解き直しを別の紙に書いて本の中に貼ってもらっていたので(パターン集のときは本体に解き直しができるスペースがないので別の紙にやって本に貼ってもらっていたのだ。ノートにやると解答が散逸するのでこれに関しては本体で完結させたかった。その点「賢者の石」は余白がたくさんとってあるのでまず大丈夫だと思うが)入試が近づくころには最初渡されたときとは姿の違う分厚く膨らんだ「パターン集」になっていて、それはそれで「勉強した」という形が目に見えて残るようでよかったのだが。
そういう発想はもうタブレット・スマホの時代にはアナログすぎるだろうが。

「賢者の石」に切り替えて初期の頃は、製本作業だけで入試対策授業の日(土曜日または日曜日)を一日ほとんど丸々潰していた。
「部単位で印刷」ができなかったので(あるときからはできたのだろうけどそれをコピー機でやろうと思ったらコピーのカウンター料金が莫大になり、かつ時間も大変かかる、そんな時代だった)中3生総動員で工場制手工業よろしく紙を一枚ずつとってまとめるもの、折って冊子の形にするもの、ホチキスで綴じるもの、穴を開けるものと協業と分業で作っていたのである。

今はそんなことはしていない。

機械が部単位で印刷してくれるので、一枚一枚とってまとめる必要がない。
折って冊子にして中とじのホチキスで綴じる作業、冊子に穴を空ける作業、ファイルに表紙を貼る作業は各自の分を自分でやる。
彼らは中綴じができるホチキスを見たことがないようで、今年も使い方の説明をした。
数十分で配布および製作が完了。
随分と楽になった。
大きなトラブルもなく大量の紙を吐き出し続けてくれたプリンターにも感謝。
こうやって紙の「賢者の石」を使う時代はあとどれくらいで終わるのだろうかと、ふと思うのだった。