中2の国語教科書の説明文「モアイは語る」。
人間社会への印象的な警告文だが、実はモアイは語っていなかったのではないかというニュースが、昨日出ていた。
モアイ像のイースター島、DNA分析で通説覆す 文明崩壊なかった?:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASS9C1V5MS9CPLBJ001M.html
先述の説明文が取り上げていたモアイを作ったイースター島の文明崩壊過程が否定された論文が出たようだ。
先ほどの記事は有料記事だったので、Yahoo!に上がっていた無料版(こちらも朝日新聞の記事)を見る。
>古代住人のゲノム(全遺伝情報)を調べたが、劇的な人口減少を示すような証拠は得られなかった。
ということだそうだ。
ゲノム解析がすべてでもないし、解析結果から導き出されたこの研究の指摘が正しいのかどうかも研究者たちの間でこれから議論になるのだろうが、仮にこの新説が正しいとなると最初に述べた教科書の「モアイは語る」の話の内容が根底から変わることになる。
Natureに論文が出たというだけのことで、まだ文明崩壊説の否定が通説になったわけでもないが、今後に注目したい。
いま、調べたら2025年度(令和7年度)からの新しい教科書(リンクは光村図書の教材配列表)(来年は中学校の教科書の改訂年だ)にも「モアイは語る」は掲載されるようだ。
この説明文の扱いは今後どうなるだろうか(今から来年からの改訂版の改訂などできないだろうから教科書に何かあるとしたら来年でなくその次の改訂からになるだろうか)。
国語の教科書の説明文なので、文章の内容が適切に把握できていればよく、その中身がどうだとか関係がないともいえるが、中学生のときに習った内容は断片的であっても多くの人に一生ついて回る知識になりがちなので、仮に内容が明らかに間違っているとなったら、掲載しておく訳にはいかないだろうか(他教科でも世の中で新しいことが分かって以前の記述がなくなっている例は中学レベルの教科書でも数々ある。知識のアップデートは常に必要)。
話としては面白い(interesting)な話だったので、これをきっかけに教科書から消えるようなことにでもなれば残念だが、もとになっている説が一般的に否定されるようなことになったら仕方のないことだろう。
今回のこの説への反論がそのうち出てくるかもしれない。
科学の学説というのはそうやってもまれながら人類共通の知識になっていくのだから。
その過程を見るという点では、逆にこの教材は今後の説の展開にかかわらず残しておくのも一つの手かもしれないと思う。
フォローは必須になるかもしれないが。