藤井八冠→七冠に

昨日(2024年6月20日)行われた将棋の叡王戦第5局で、挑戦者の伊藤匠七段が藤井八冠を倒してタイトルを奪った。
藤井聡太のタイトル独占がついに崩された。
神か仏かというほどの圧倒的な強さだったが、彼も人であり、挑戦する棋士たちも人。
しかもそこらへんの凡人ではなく選りすぐりのプロ棋士だ。

いつかはこういうときが来る。

それが昨日だった。

 

 

彼の圧倒的な強さを思うと8つのタイトルを独占していた期間が「意外に短かった」と思う人もいるかもしれないが、私は「すごく長かった」と思う。
よくぞここまで維持したと思う。
そもそも8つもあるタイトルをすべて独占している段階でまずあり得ない。
羽生善治会長が当時の全主要タイトル7つを独占したときも「こんな人はもう出てこないだろう」と思ったが、生きている間に再び見ることになるとは思わなかった。

彼が再びタイトルを独占する日が来るのかどうかは分からないが(防衛しながら挑戦するのだからとんでもなく難しいだろう)、若くして頂点を極めてしまった彼の今後に注目だ。

 

 

それにしても、将棋の世界はここまで というのが残念でならない。
これが例えば野球なら、国内で無敵の選手でもメジャーリーグという目標が持てるし、卓球なら世界最強は中国、運動競技でなくても囲碁なら隣の韓国が強いそうだから、国内で無敵になった人にもまだ挑戦する先がある。

将棋はそうはいかない。

日本で極めたら終わり。

藤井聡太という不世出の天才はタイトルを独占してしまったらその先の目標が作れない。
だから注目している。
彼がこれから何を成すのか。
彼の才能を生かすも殺すも周りの棋士次第。
伊藤新叡王は藤井聡太と同い年。
若い人たちが将棋の世界を盛り上げてくれることを願う。