私の家の近所に河津桜の名所があり、今年も咲き始めている。
木によってはまだつぼみが多いが、早くも満開に近づいている木もある。
一つ一つの木に個性があって面白い。
河津桜は梅とソメイヨシノの中間ぐらいのこの時期に咲き始める。
件の名所は毎年のように新聞に取り上げられ、取り上げられると大勢の人がやってくる。
ほんの数日だが周辺の田舎の道路が混雑する。
新聞で取り上げられる頃には見頃は過ぎていることが多いのだが。
そう、新聞で取り上げられる頃には見頃は過ぎているのだ。
今年も咲き始めたが、今は全然混んでいない。
閑散としたものだ。
あとしばらくして満開になって、咲いていることに気づいた近所の人が訪れるようになって、その後新聞が取材に来て記事にするという感じなので、新聞に出る頃にはもうピークは過ぎている。
このように新聞というメディアには、ネット全盛の現代でも一定の力が残っているのだが、購読層は偏っているという。
ある調査によると高齢者の方が購読率が高く、今や40代までの層では半分も購読していないという。
私が散歩に行くような時間帯(平日の午前中)もあるのだろうが、言われてみると確かに河津桜を見に来ているのは高齢者がほとんどのような気もする。
仕事をしている世代がその時間帯にいないのは当たり前といえば当たり前か。
個人的にはこの河津桜が咲くと「春が来た」という感じがする。
思えば3年前の退院直後、外で散歩を始めたころに河津桜を見て感動したのだった。
大げさでなく生きていることを実感した瞬間だった。
病院での生活から解放されたあのころ、外で見る風景のすべてが愛おしかった。
あれから3年。
明日はあのときの中学3年生が高校を卒業する。
卒業おめでとう。
私にとっては、あっという間の3年だった。
高校卒業生にとっても終わってみればあっという間だったかもしれないが、きっと充実した3年だっただろう。
振り返れば私も高校生活はとても充実していた記憶がある。
いろいろな思い出が詰まっている。
みんなはどうだっただろう。
きっと素敵な3年間だったに違いない。
3年前に命拾いした私は、こうして元気にやっている。
みんなのおかげでこうして生きている。
あそこが~ここが~という後遺症も何もなく、ごく普通に生きていられるのは奇跡のようだ。
みんなも元気で新しいステージで活躍してほしい。
いのちがそして健康が何より大切だ。
一度は死の淵に立った私が言うのだから間違いないし説得力がある(苦笑)