私がまだ大学生だったとき、親が働いていて妹の大学受験に付き添って行けないというので、結局私がついていった覚えがある。
(私自身の受験のときはどこに行くのももちろん一人だったっが。前回書いた東京の私大のときも。当たり前か)
大学生の私は入試の時期は当然暇だ(私の大学でも入試をやっているのだから当たり前)。
行き先は神戸だった。
国公立大学の前期入試は今も昔も2/25と決まっている。
前日の2/24から2人で神戸に乗り込んで泊まった。
新幹線で新神戸まで行き、そこから地下鉄だった覚えがある。
2/24に宿泊しているのは国公立前期入試の受験生が多い。
そもそも各大学側(だったか生協だったか)の斡旋で紹介された宿というのもあるから当然だろう。
前日の夕食はホテルのレストランで、カウンターの真ん中の鉄板で肉ほかをシェフがいろいろ焼いてくれるところだった。
周りは受験生ばかりのようだった。
私と同じように当然一人の子もいるようだった。
おいしかったのですっかりリラックスして(受験生本人でもないので緊張も何もないのだが)ビールまで頼んでしまった覚えがある。
明らかに親らしき大人と一緒の受験生もいたが、大学4年生の私は、少なくとも受験生の「親」には見えなかっただろう。
同じ受験生だと勘違いして見られたかもしれない。
私が席に着いた当初から緊張感もなくゆったりしていて、ビールまで頼んだ瞬間、周りの受験生が「えっ」という顔をしたのを思い出す。
翌日、大学の入り口まで妹を送り届けると、試験が終わるまで暇なので私は地下鉄で三宮まで出て神戸の街をぶらぶらした。
神戸には初めて行ったわけでもないが、子どもの頃のバスの団体旅行しか記憶がないので、まあ初めてのようなものだった。
三宮の街だけでなく、ポートライナーに乗ってポートアイランドの方にも行ってみた。
妹は大学受験だったが、私にとっては神戸への小旅行だった。
後年、その街が阪神・淡路大震災で被災し、大きなビルが倒壊し、高速道路の高架が崩れ落ち、鉄道がぐにゃぐにゃになり、街が焼けているのを映像で見て戦慄した。
見覚えのあるあの街があんなことに。
行ったことがあった、歩いたことがあった場所だけに余計ショックだった。
こんな酷い震災は、私の人生の中で見る(映像だが)最も大きな震災だろうと当時は思ったものだった。
それぐらいショックが大きかったが、決してそうではなかったことは、ご存じの通りである。
地震は恐ろしい。
そして震災の経験はつらく悲しいのはもちろん、被災した人々の生活をずたずたにする。
今回の震災は、人口密集地でないために(過疎地だった)被災された方の人数が過去の大震災までは多くないだけで、被害の深刻さは過去の大震災に匹敵するか、それ以上だろうと思う。
人口がそれなりの地域なら間違いなく「○○大震災」と言われるだろう深刻さだ。
被災地が冬で雪の多い地帯だというのがさらに人々を苦しめる。
察するにあまりある。
被災された方々が一日も早く元の生活を取り戻せるよう祈る。
そういえば、もうすぐ阪神・淡路大震災が起こった1.17を今年も迎える。