最近、散歩をしていると平屋の新築住宅を(注文住宅だけでなく建売でも)ぽつぽつ見かける。
流行りなのだろうか。
世帯が小さくなり、夫婦だけあるいは単身という家庭も増えてきて、さほど部屋はいらないということなのだろうか。
時代は移り変わる。万物は流転する。
私は小さいころから小学生の半ばまでずっと平屋の家に住んできたので、4年生になり2階のある家に引っ越したときはそれだけで大変うれしかった。
「階段がある家」
ベランダとか屋根裏部屋とか特別な仕掛けがあるわけでもない、何の変哲もないただの2階建てだったのだが、それでじゅうぶん幸せだった。
あの家では階段から派手に滑り落ちた経験もあるが、それもいい思い出だ(あのときは痛かったが)。
そういえば私の若いころには3階建ての家というのも一時期流行った気がする。
私は住んだことがないが子供の私はもし住んでいたら大変喜んだに違いない。
流行り廃りというのは受験の世界でもある。
私は大学受験に関しては素人だが、いわゆる「偏差値の高い」受験生に人気のある大学・学部とそうでない大学・学部というのは絶えず変化する。
特に文系の大学・学部は流行り廃りに影響されやすい。
理系はそんなに流行り廃りはないと思う(学部学科の流行り廃りはあるかもしれないが)。
というか自分のやりたい研究・なりたいものがイメージできればそんな流行り廃りに惑わされることもないだろう。
うちの大学に「情報学部」という学部は昔はなかった。
「情報学部」というと今どきの感じがしてかっこいいと思うのか、学問の内容が今風なのか、うちの大学の中でもそれなりに人気がある学部のようだ。
もとは旧教養部の改組でできた新しい学部(最初は情報文化学部だった。そこに近年工学部の情報系が加わって情報学部になった感じのよう)だったから、逆に学内で人気がないほうかもしれないぐらいに思っていた(スミマセン)。
旧制八高→教養部の流れと言われれば長い伝統がありそうでもあるか。
私が学生の頃、ちょうど教養部がなくなって新しい学部ができるというので話題になった覚えがある。
当時、教養部廃止はうちの大学だけでなく全国的な流れだった。
新設学部の仮称は情報でも情報文化でもない、もっと長い名前の学部だった(名前は忘れた)と記憶している。
その仮称は文部省(今の文部科学省)に「何を学ぶ学部か分からない」と却下されたとか聞いた(うろ覚えのまた聞き)。
旧教養部の教員その他の移行先としての学部を作るのが先だったようで、最初は中身も判然としなかったようだ。
そんなに名前に困っているなら、いっそ東大のように「教養学部」でいいんじゃないかと当時の私は思ったぐらいだ。
高校のとき、年配の先生が「上智大学、私の若い頃はそんな高い大学のイメージがなかった」と言っていた。
私が高校生のときの年配の先生の若いころの話だから、相当昔の話であるが、そういう時代もあったようだ。
それが私が高校生の頃にはもう早慶上智と言っていて、その後、早慶上理(東京理科大)などともいわれるようになったが、早稲田・慶応と肩を並べる私立大学の雄の扱いである。
私大と言えば、このあたりでは南山大学が他の私大よりも頭一つ抜けている感じが昔は確かにあった。
特に外国語学部英米学科ははっきり「難関」という位置づけだった。
それにつられてほかの学部のレベルも高い感じになっていた(上智大も、もとはそんな感じで大学全体のランクが上がっていった)。
今はというと、南山の外国語・英米は相変わらず難しいようだが、他学部は一時期ほどでもないようだ。
このほか、むかしは(文系でいうと)名城や中京より愛知大が一歩ぐらいリードしている感じだったが、今は…という状態だ。
昔は少なくとも愛愛名中(愛知・愛知学院・名城・中京)と括られるような存在ではなかったように思う。
愛(愛知学院のほう)名中と愛(愛知大のほう)の間には少し差があった気がする(個人の感想です)。
愛愛名中といえば、今は(愛知学院を除いて南山を入れた)南愛名中なんて大学群の名称に変化しているそうで、南山がそういう大学群に入れられていることがすでに、私の若かった昔からすると隔世の感がある(個人の感想です)。
このように、親世代が自分が受験したころの感覚で話しても、今の子どもたちとはかみ合わないだろうなと思うことは多い。
進学を巡る情勢は常に変化する。
アンテナを張っておかないと乗り遅れてしまう。
ただ、一つ言えることはこのように流転する「ランク」(あくまでも受験生目線でのランクだ。大学の実力とは別)ばかりを追っていても仕方がない。
月並みだが、自分のやりたいことを決め、行きたいところを定めるのが肝要。
こういう話を突き詰めていくと本当にそう思う。
ランクだけで志望校を決めることにはあまり意味がない。
自分が通う大学(と学部)。
(特に文系はそういうものに流されやすい気がするので)よくよく検討してほしい。