高校無償化についての各県教育長の反応


高校無償化先行の愛知県では… 公立の欠員が大幅増、隣の岐阜県は生徒流出危惧:中日新聞Web
https://www.chunichi.co.jp/article/1044584

>私立中高一貫校への中学段階からの進学者増加もあり得ると予想するのは、岐阜県教委の堀貴雄教育長。県教委によると、特に私立高の集中する愛知県に通学しやすい地域での生徒流出を危惧する。

国政で決まった高校無償化による公立高校への影響を各県の教育長がどう考えているかの一昨日の朝刊一面記事。
岐阜県教委が「流出を危惧」する割にはその対策をあまり講じていないように見えるのは私の目が節穴ということなのだろうか。
また、

>さまざまな影響が予想されることから、9県の教育長がこぞって国に要望するのが公立高の魅力向上策への支援だ。

ともあったが、他県のことは知らないが岐阜県に関して言えば、財源の必要があるものについては高校再編の方向性が確定してからでないと手当できないのではないか。
今、◯◯高校に多額の投資をしたとしても、その高校が存続できるのかどうか分からないほど定員割れが続いていて、結局統廃合の対象となれば、その投資はすべて無駄になってしまう。
施設のような物的資源だけの問題ではない。
定員割れの小規模高校が目立つ現状は教員の配置もひじょうに効率が悪く、一人ひとりの教員の負担も軽くないように想像する。
魅力向上策を立てたとしても、公立高校の教員の力が分散してしまっていてはその策を有効に実行できないのではないか。

いすれにしても、急展開で決まった高校無償化問題でますます高校再編の方向を定めるのが難しくなったような気がする。
何年か前、先送りせず一定の結論を出して実行しておけば今の情勢変化にも即応できたかもしれない。
先送りした課題(もう10年近く前になるが再編統合対象を高校名まで出して19校、具体的に明示しておきながら定員削減と活性化策の検討でやり過ごすことになった)に昨今の情勢変化が加わって公立高校配置の問題がますます難題になっていないだろうか。
今度の再編は何年か前の推計よりも急激に進んでいる少子化を見越したものにならなくては先送りした意味もなく、現状で存続が厳しそうな高校だけの問題では済まない気がしているのだが、考えすぎなのだろうか。
そのときはそのときでまた考えるという場当たり的な対応を今回もするのだろうか。
大変な難題に直面しているように思うが表立っては不気味なほど何の音沙汰もない。
裏で水面下で(つまりは県民の見えないところで)どの程度進行しているのかは知らないが。

>私立高の便乗値上げを懸念する声もあった。静岡県教委の池上重弘教育長は、私立高が授業料に加えて徴収している施設整備費などを上げることがあり得るとの見方を示した。

何だかんだといわれても(教育以外の他の制度でもそうであるように)国負担の授業料は枠の上限まで値上げしても不思議はないし(それをやっても「無償化」以降は高校生の家庭にはダイレクトに跳ね返ってこない)、さらにこういうことも起こる可能性もあるという指摘。
ここは「公立と変わらない負担を強調して別費用はあまり徴収しない」私立と「公立よりも上質な環境を強調して授業料以外のお金(教育充実費等の名目)を徴収する」私立に分かれそうな気もするのだが、どうなのだろう。
また、以前も書いたように各私立が競って熱心に整備してきた特待生・奨学生制度はどうなるのか。
今年の説明会に注目するとしよう。