謹賀新年

Newyeartop2013

 昨年は開校15周年という節目を元気で前向きなお子さんたちとともに迎えることができました。例年以上に多くの入塾者数に恵まれ、本当にありがたい一年であったと皆さまに感謝いたしております。
 他方、世の中に目を向ければ、一昨年春の東日本大震災からの復興は関係各所の奮闘にもかかわらず依然として軌道に乗ったとは言えず、多くの被災者の方が2回目の正月を仮設住宅や一時避難先で迎えられました。原発事故も、2年近く経った今なお、現場の皆さんの危険と隣り合わせの必死の作業によってようやく被害の拡大を抑え込んでいるに過ぎません。そうした厳しい状況にもかかわらず、対立ばかりで何も生み出さない不安定な国政、その間隙を突かれたように領土問題で緊張する対外関係とそれに伴う製造業の輸出への大打撃、止まらないデフレで先行きが全く見えない国内経済と、我が国を取り巻く諸条件はいっそう厳しさを増しております。年末の総選挙で誕生した新政権には、困難に直面する国民の幅広い願いを出来うる限り包み込むような懐の深い国政運営を期待したいと思います。
 世界の情勢も混沌としております。アメリカの「財政の崖」問題はいちおう回避する方向のようですが、妥協と先送りの産物で根本的な解決には至らないようですし、EUの財政危機もいつ爆発するか分からない状況にあります。シリアやイラク、アフガニスタンの内乱状態は収まる気配もなく、またパレスチナを巡る激しい対立もいっこうに解けず、今日もそれぞれで多くの尊い人命が奪われています。かつてのように超大国の首脳が決断すれば世界が大きく動いた時代と異なり、今はどの国の誰もがこうした国際的な諸問題に対して解決への道すじをつけられない状況にあります。その中にあっても私たち市民にできることは何なのか。難問山積の国内にあって霞みがちな地球的な視野を失うことがあってはならないと自戒しております。
 やや話が大きくなりすぎましたので、日本の片隅にあるこの小さな塾の話に戻しましょう。日頃から「塾を卒業したら、ここで学んだことは胸に刻みつつ、感傷的な思い出や私個人のことなどはさっさと忘れ去って、振り返ることなく新しい世界で前を向いて力強く歩んでください」などと塾生や卒業生たちにつれないことを申しているにもかかわらず、昨年はかつての塾生たちから嬉しい報告を聞く機会が例年以上に多く、私にとっても大変励みになりました。同時に、自分では全く変わっていないつもりでも、確実に年齢を重ねていることを痛感する年でもありました。今年はいっそう健康に留意し、さらに元気で活力ある塾運営を心がけてまいります。
 現在小学5年生のお子さんたちが賢学塾の第20期生となります。次の節目をそこに定め、この塾をさらに進化・深化させていくために、今年もハード・ソフト両面のいっそうの充実に邁進する所存です。
 2013年の賢学塾に、どうぞご期待ください。
 
賢学塾
塾長 伊藤 賢