第28期生の皆さん、全員合格おめでとう。

 

この春もまたうれしい春となった。
第28期生のみなさん、本当におめでとう。
そしてありがとう。

すばらしい学年だった。

メインの公立入試対策だけでなく、高専対策に滝対策と忙しい直前期だったが、私個人もそのぶん充実した仕事ができたと思っている。
賢者の石の超必修編だけでなく、準必修編まで制覇した(質問したりして自力で解き直してハンコまでもらった)生徒が何人も出た。
探究編まで平らげた子も出て、その先の深淵編?や化石編、「二時の虹」だ「炎色反応」だと新しい冊子も作らせてもらった。
このネーミングセンスには課題を残したが(苦笑)、これらの冊子は来年以後の財産にもなる。
改めて第28期生の進学先を見れば、岐阜高だ大垣北高だ大垣東高だ岐阜高専だと成績上位の高校がずらっと並んでいるが(約8割)、そんななかで大垣商と大垣工に進学した子もいる。
彼らにはそんな成績上位の学校志望の生徒たちとは別の学習到達度を設定していたつもりだが、それにしても大変だっただろうと思う。
彼らも含め、みんな本当によくがんばってくれた。

大垣の街のど真ん中から、このまちはずれにある小さな塾をわざわざ選んでくれた子もいる。
逆方向(郊外から街の中へ)はよくあることだが、こういうことは珍しい。
ましてそれがこの小さな塾である。
彼は家の方の送迎の都合がつかない夏期講習中は電車で荒尾駅まで来て通塾していた。
昼間にほとんど電車が走っていない時間帯がある美濃赤坂線だ。
いつだったか、高校見学のために遅刻していつもの電車に乗れず次の電車までかなり時間があるというので、夏の炎天下を歩いてこの塾まで来たことがあった。
スカスカの電車の時刻表を見ながら「遅刻すると聞いていたが、今日はお休みかな」と思っていた私もびっくり仰天してしまった。

ほとんど遠足である。

よい子は決して絶対に真似をしてはいけないが(あの夏の猛暑の中である。下手をすると熱中症になる)、「前向きなこの気持ちとこの頑張りを成果にしなくてどうする」とあのとき強く思ったものだ。
そんな彼も無事に合格してほっとしている。
ともかく、いろいろなエピソードが詰まった学年だった。

 

   

弊塾はこのように幸せな日を迎えられたが、この倍率が低い西濃地区でも、全部あわせたら1クラス分以上にはなる不合格者が今日出ている。
何年前に書いたか忘れたが、いつもの雑文をここに書いておく。

 高校入試、特にその学力検査というのは、15歳の今の段階の学力を2025年3月14日という1日限定で測定した、言ってみれば「瞬間風速」の結果でしかありません。もちろん、残念な結果に終わった以上、反省したい点、今になって後悔すること、納得がいかないことなど、心の中からあふれ出てどうしようもなくなるときがあるかもしれません。しかし、今日の結果が15歳の現時点での瞬間風速の測定結果に過ぎないということは、忘れないでいただきたいと思います。
 ついでに言えば、大学入試の合否もまた18歳の時点における瞬間風速の測定結果に過ぎません。18歳、22歳、24歳、30歳、40歳、50歳・・・まだまだ続く人生のどこかで、今日のことが苦笑いしながらであっても前向きに振り返られる日が来ますよう、心から祈っております。
 人生は分岐点の連続です。その一つ目を今日、通過しただけです。
 前を向いて、次の目標に向かって歩みながら、進学することになった高校ですばらしい高校生活を送られるよう、祈っております。進学することになった高校では、あなたたちを温かく迎えてくれるみなさんがいます。大いに頼りにしながら新しい生活を始めてください。そして貴重な十代後半の日々を大切に過ごしてください。
  
   

    

  

   

これから書くことは、私の心の中にしまっておいてずっと黙っておこうかと思ったが、こういうめでたい日なので下のほうにこっそり書いておく。
今日進学先が決まった第28期生、弊塾メインの2中学校(いうまでもなくあそことあそこだ)のトップを何回か経験したことのある子がそろうという、28年やっている弊塾史上でもかつてない世代となった。
実力も拮抗しており、塾でやっていた全国学力テストでも毎回塾内のトップを争っていた。
賢学塾は「学力テスト優秀者」といって掲示をしたり発表したりする塾ではないので、私一人がそれを見て感心していたのだが。

これまでもどっちかの中学校のトップがいる学年はそれほど珍しくなかったが、両方ともというのが珍しかった。
これを「弊塾の指導力!」とかいってここやら公式サイトに書けば塾としては大した宣伝になるのだろうが、全然そんなふうには捉えていなくて単なる偶然だろうと思うので正直にそう書いておく。
こういうこともあるんだなと。

大きい塾から小さい塾まで、いろんな塾がテストで「校内一位」をとることにこだわっているように見える中で、そういうことをこっちから積極的に聞き取ったこともないし公表もしていない弊塾に一番がそろっていたという。
一位はどこにいるの?と思っていた塾関係者、ごめんなさいね。
件の2人はもちろんいつもトップだったわけではないようだが、3年間で2人ともトップだったテスト、つまり2つの中学校のトップをウチが独占しているということも何回かあったようだ(「ようだ」「ようだ」と書くのは私自身に関心が薄く、あとから懇談等で教えてもらうことが多かったから)
実際、このブログを漁っていただければわかることだが、この3年間(二人とも中1の最初からうちの塾にいた)彼らがテストで「一位を取った!」と書いたことは一度もないはずである。
普通の塾ならこういうことは積極的に宣伝に使うのだろうが、私は開塾当初からずっと「一位をとってくるのはその生徒本人の努力と能力の結果であって『弊塾のおかげ』などではない」という思いでやっている。
それから彼ら自身にとっても中学校で一番だったということにこの先どれだけ意味があるのかというのもある。
何年か前に東大に行った子が弊塾に在籍していた当時、そのお母さんがその子が中学校で一番を取ってきたときにおっしゃった言葉を今でも思い出す。

「中学校で一番でも…」

まったくその通りだと思った。
そのレベルならまず3年後にもっとずっと高い高い壁を乗り越える大きな戦いが待っているはず。
その戦いに「中学校で一番だった」という称号は何の役にも立たない。

本当に何の役にも立たない。

そういえばあのアキグチノボル君も高校以降で「中学で一位」だったことが役に立ったことなんて一度もないといっていた。
今年の彼らもこれからさらに頑張ってほしい。
といっても彼らはアキグチノボル君とは違うからそんな声掛けは要らない子たちだと思うが。

思えば弊塾でも彼らが一位だったからといって塾内で特に顕彰することもなく、彼らが答案用紙を持ってきたときや成績表を持ってきたときに、その点数について「よかったね」という程度だった。
彼らの順位を褒めたことは最後まで一度もなかったかもしれない。
それが不満だったら(もっとほめてよ的な思いがあったら)3年間ここには通ってくれなかったと思うので、これでいいのだと私は勝手に思っている。

そんな彼らに限らず、テスト結果について褒めることは私にとってはどちらかというと稀なことだ。
よくやっているなと思う子には、基本的にテストの結果が出る前に褒めておく。
よく頑張っているねと。
その後テストの結果が褒めたほどでなかった子もいれば、褒めたとおりの結果になった子もいるが、後者はともかく前者はテストの結果が出てからでは褒めにくい、というかただの慰めになってしまう。
だから自分から見て頑張っているなと思った子にはテスト前に言うようにしているのだ。

なーんていうどうでもいいことを、この記事の最後に書いておく。
とにかく今日は本当にうれしい。
倒れてからは控えめにしているお酒も今日は普通に飲むかな。
暴飲はもちろんしないけど。