いよいよ入試が始まる。
明後日から、まずは私立高校の入試が始まる。
特色化選抜はちょうど4週間後だ。
特色化選抜で終わる生徒もいる現在のシステムでは
この4週間がまさに受験戦線のクライマックス。
(来年からはまた変わるわけだが)
週末からの「ラストスパート態勢」スタートに備え、
今日は本当は塾を開ける予定のない日だったが
自習に来たいという子たちが何人かいて
(どのみちこちらも仕事があって塾には出てくるつもりでいたから)
自習室を開けることにした。
夜7時前、予告した通り彼女たちが現れ、
教室に入るとすっと離れて座った。
そして黙々とそれぞれのことをこなす。
ある者は学力テストの直し、
またある者は特色化選抜の過去問の直し・・・。
この間、私からは何の指示も出していない。
離れて座ったのも彼女たちの判断だ。
もう、何も言わなくても大丈夫な受験生たちの姿。
私は時折持ってくる質問に答えれば、それでいい。
書きながら、昨年末のことを思い出す。
中学校が冬休みに入ってから
私立高校の願書を中学校まで各自で
提出しに行かなければならないという。
公立志望者も(当然のことながらほとんどが)
私立を併願するわけで、ほぼ全員の生徒が
三々五々中学校に出て行くことになる。
日程の都合でそうなってしまっているのだろう。
わざわざ願書だけ持って行く生徒もご苦労なことだが、
願書の点検整理などの出願作業や
推薦入試の面接練習に追われる中学校の先生方も
年末というのに大変なことだ。
ところが、そんなことにはお構いなしに
この塾は毎日、朝から冬期講座を
組んでしまっていたのは以前書いたとおり。
彼ら塾生が塾に定刻に来ようとすれば
願書が出せなくなってしまうし、
学校に願書を出しに行こうとすれば、
塾には遅刻して行かなければならない。
今日、自習に来た彼女たちは、
願書を出しても塾に間に合うよう
「少し早めに願書を出しに行かせてほしい」と
学校の先生にお願いした子たちである。
もちろん、私がそれを強制したわけではないし、
無言の圧力をかけたわけでもない。
実際、出しに行ったために塾に少しだけ遅刻した子もいる。
願書を出さなければ受験できないのだから
それで塾に遅刻するのは仕方がないことで、
学校に迷惑をかけるわけにもいかないから、
私もそんなことで目くじらを立てるはずもない。
だが、彼女たちはそういう選択をしなかった。
塾での学習がほんの少しでも欠けてしまうことを
自分で嫌だと判断して決めたのだろう。
今の中3生、とても良い子たちばかりだが
過去、好成績を収めた卒業年の子たちと比べると
伝説級の「ラーニングリーダー」が不在で
何となく頼りない部分があると感じてきた。
しかしそれは私の目が節穴だっただけで
たとえそんな「ラーニングリーダー」が不在でも
この学年はもうかなりの「高み」に到達しているんだと
実感したのだった。
夜半、家に帰り着き、車を降りて空を見上げると
オリオン座は南西に傾いている。
今年ももう、そんな時期なのだ。