岐阜県入試の平均点は何を平均しているのか(5)
昨日の続き。
もう第5弾なのか。
いつまで続くんだろう、このシリーズ(笑)。
<平均している対象の変遷>
令和7年度入試の成績概要で「第一次選抜学力検査」受検者が12,799人と記載されていた。
そしてそれは全日制・定時制の第一次選抜受検者だけでなく、「第一次選抜学力検査」を使う他の選抜(連携型選抜・帰国生徒選抜・外国人選抜・県外募集選抜)も含まれているだろうことも昨日書いた。
そうしないと数が足りなくなると。
しかしそれは以前と母集団を変えたことにつながる。
その令和7年度に行く前に、令和6年度を調べてみる。
<令和6年度から検証>
令和6年度入試の成績概要には
>全日制の課程の第一次選抜学力検査(3月5日実施)の受検者は、12,769人であった。
と書いてあり、全日制の第一次選抜(と連携型選抜)出願者が12,829人いたので数はクリアしている。
しかし、「第一次選抜学力検査」を使う帰国生徒選抜・外国人選抜・県外募集選抜の扱いはどうなっているのだろう。
そう思って出願者数を調べると、令和6年度は
帰国生徒選抜 7人
外国人生徒選抜 13人
県外募集選抜 13人
ということになっている。
これらをあわせると12,862人。
令和6年度までは「全日制の課程の」という枕詞がついており、定時制は省く。
全日制の「第一次選抜」受検者でなく全日制の「第一次選抜学力検査」受検者ならこの合計の出願者数がもとになるはず。
12862-12769=93
100人近く多い。
出願したが受検を取りやめた人数にしては多い気がする。
しかしここで考慮しなくてはいけないのが追検査の受検者。
追検査は「3月5日実施」の学力検査ではない。
この年の追検査の受検者は78人であることが文科省の資料から分かっている。
(ただし、追検査の受検者の中には定時制の受検者もいることには留意しないといけない。受検者の比率から単純に計算すると数人程度になるが、これは分からない。第二次選抜に追検査はないから、少なくとも第一次選抜学力検査抜の追検査であることは確定している。ここでは仮に78人全員を全日制の課程の追検査受検者とする)
12,862-12,769-78=15
このずれている15人は出願はしたが本検査も追検査も欠席(受検をャンセル)したということになるのだろうか。
13,000人規模の受検生の中で15人だから0.1%。
公立高校入試といえども、そういうことは起こりえそうな範囲の人数である。
(あるいは県外募集選抜13人だけを除外すると2人差まで縮まるが完全一致はしない。そもそも除外する記述がないだけでなく県外募集だけを除外する合理的根拠が考えつかない。定員の枠外の募集だから除外するということなら帰国生徒選抜・外国人生徒選抜も除外しなくてはならないからだ。だからこれはなさそうだと結論づけた)
令和6年度入試の成績概要に示された受検者数は第一次選抜学力検査(の本検査)を受けた全日制すべての受検者と結論づけてもよさそうだ。
そして「5教科の総点の平均」の対象は、5教科受検した全日制の第一次選抜、連携型選抜(の一部)、県外募集選抜の受検者ということになる。
<そして本題の令和7年度へ>
同じことを令和7年度でやってみる。
成績概要には
>第一次選抜学力検査の受検者は、12,799人であった。
と書いてあり、定時制が含まれている(というか既にこのシリーズで書いてきたように「全日制の課程の」という縛りが消えている)。
ここから先の出願者数は昨日も書いた集計だ。
全日制第一次選抜(+連携型選抜) 12,373人
定時制第一次選抜 388人
帰国生徒選抜 11人
外国人生徒選抜 16人
県外募集選抜 26人
合計で 12,814人であった。
この年の追検査の受検者は32人であることが文科省の資料から分かっている。
12,814-32=12,782人。
あれ?
足りなくなる・・・。
ひょっとして・・・
令和7年度の「第一次選抜学力検査の受検者」って追検査の受検者も入っている?
そういえば、令和7年度から実施日の記載が消えている。
追検査のことは無視して(すべての選抜を合わせた出願者数)-(成績概要の受検者数)で計算する。
12,814-12,799=15
偶然にも令和6年と同じ15人。
つまりさっきの起こりえそうな範囲の話になる。
やはり追検査も入れているのか。
そういう疑問がますます大きくなってきた。
確認のために令和5年度もチェックすることにした。
<令和5年度の数字も確認したら>
>全日制の課程の第一次選抜学力検査(3月3日実施)の受検者は、12,574人(連携型選抜を除く)であった。
と書いてある。
そうだ、令和5年度までは約20分の1抽出調査で直近2年間と違い連携型選抜を除いているのだった。
連携型選抜の出願者数を別で拾って除外しなくてはいけない。
っとその前に、令和5年度の選抜概要には出願者数と受検者数が書いてあるではないか。
ここでちょっと横道にずれてそれを検証すると、第一次選抜の(出願者数)-(受検者数)は
12,729-12,714=15
何とここでも15人!
偶然にも令和6年度、令和7年度の食い違いの数字と同じ数字になっていた。
岐阜県には15人受検をキャンセルするルールでもあるのかと思うぐらいの一致だが、これは貴重なデータだ。
公式に(出願者数)-(受検者数)の規模が分かるからだ。
出願手続きを完了しても受検しない(受検そのものをキャンセルする)生徒が毎年その程度いるということでよさそうだ。
貴重な資料だと思うのだが、どういうわけか令和6年度からは出願者数のみが掲載され、受検者数が削除されている。
検証の上でも残念だなと思った。
検証に戻る。
学力検査の成績概要と同時に出ている選抜概要では全日制の第一次選抜と連携型選抜の出願者数がセットになっている。
仕方がないので一部は出願時の出願状況総括表から拾う。
12,729人が全日制の課程(第一次選抜+連携型選抜)の出願者数。
これは選抜概要も出願状況総括表も一致している。
この時代は紙の願書だったから一致するわけだ(紙の願書だと一致する理由は簡単な話だが話が拡散するのでまた別項目で書くことにする)。
この数字から始めようかと思ったが、ここでは明らかになっている受検者数の12,714人から始める。
これも連携型選抜の受検者数が含まれている。
連携型選抜だけの出願者数は出願時の総括表で95人。
この95人全員が受検したと仮定する(0.1%の確率なのだからずれていたとしても1人いるかいないかだろう)。
12,714-95=12,619
12,619人が全日制の課程の第一次選抜受検者(連携型選抜を除いた人数)と推定される。
そして令和5年度入試の文科省資料で追検査の人数は8+13=21人と確認する(この年の文科省調査は「インフルエンザ罹患者等への対応状況」と「新型コロナウイルス感染症への対応状況」を分けて示しており、それぞれの追検査対象に岐阜県は8人、13人と回答している。東京都などはこの2つを区別した人数ではないとわざわざ注をつけているので、二重計上でないと考えられる)。
12,619-21=12,598
数が多い。
第一次選抜+連携型選抜の出願者数でなく受検者数でスタートし(つまり当日欠席者は除かれているはず)、連携型選抜の人数を省き、追検査の人数も省いている。
12,574人にならないとおかしいのだが。
20人以上多い方向でズレているのはちょっと説明が考えつかない。
文科省報告の追検査受検者数合計を21人と書いたが、この年度の資料の分類を踏まえると、この人数が追検査のすべてではない可能性があるのか?
つまり新型コロナ関係でもインフルエンザ関係でもない追検査の受検者がいる可能性。
また別の迷路に入ってしまった感じだが。3年前のことであるし、これはこれ以上深入りしても資料がないので解決しそうにない。
とりあえずいえることは、この段階で既に多いということは、さらにどこかの何かを引かなければ数字が合わないということだ。
つまりここに他の選抜の受検者数を加える余地はなさそうだということである。
令和5年度の「5教科の総点の平均」の対象は全日制の第一次選抜受検者のみ。
そう考えるのが妥当である。
<移り変わる「5教科の総点の平均」>
「5教科の総点の平均」の取り扱いをまとめると
まず、「5教科の総点の平均」なのだから、5教科受けていない受検生、つまり
・連携型選抜の一部の高校の受検生
・定時制高校の大部分の高校の受検生
・帰国生徒選抜・外国人生徒選抜の受検生
はどの年度でも算入されていないはずである。
岐阜県公立高校入試で5教科の受検者は以下の4タイプある。
①全日制の第一次選抜受検者(圧倒的多数)
②連携型選抜のうち5教科実施校受検者(連携型選抜実施4校の中の2校※)
③県外募集選抜の受検者(定員の枠外で募集校でそれぞれ数名合格する)
④定時制第一次選抜のうち5教科実施校受検者(定時制11校のうちの2校※)
※これらは令和8年度入試の校数で表示している
その上で
・令和5年度まで
①だけ(ただし抽出調査)
・令和6年度
①②③
・令和7年度
①②③④
と平均の母集団が変遷しているのではないか。
どれが完成形かと言えば、令和7年度なのだろう。
5教科受検した生徒がすべて網羅され「5教科の総点の平均」は完成したということかもしれない。
ただし、追検査の扱いについて新たな疑義が発生している。
これについては明日また書くことになる。
いずれにせよ、我々はこのように母集団が微妙に異なる「5教科の総点の平均」を3年続けて見せられているということだ。
母集団そのものの変遷、あるいはその年度の対象をもう少し県教委はきちんと説明したほうがいいのではないか。
あるいは制度としてもれなく5教科すべて受けているはずの全日制高校第一次選抜の受検生に限った平均点を、各教科・5教科の総点ともに出したほうがいいのではないのか。
仮に県外募集選抜の受検者が含まれるようになったのだとしたら、定員の枠外での選抜を入れることについても違和感がある。
定員の枠外という意味では、各教科の平均に帰国生徒選抜・外国人生徒選抜も入れるのも(従来は県教委自身も外してきただけに)違和感がある。
つまりこの長い話の結論は
「今回の3月4日の変(テレビ解答速報での5教科平均点表示方式変更)は県教委が出す平均の母集団の変遷がその背景にある」ということである。
2026年3月4日(水)夜のテレビ解答速報での異変を見て始まったこのシリーズの結論はここに行き着くのである。
来年度以降はこれで落ち着く可能性はある。
ただし・・・
本来ここで終わる話だったのだが、人数を調べているうちに終われなくなった。
それはさっきの追検査の取り扱いの話だ。
これは長くなる話だと思われるので明日別で書く。
ついでにさっき脇に置いた「紙の願書だと出願時の出願者数と最終的な出願者数が一致していた」理由。
逆に今のWEB出願システムだと出願時の出願者数と最終的な出願者数が異なることがあり得る理由。
こちらは簡単に終わる話だが(分かっている人も多いだろう)、明日も続くのだからまた明日としよう。

