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岐阜県入試の平均点は何を平均しているのか(3)

<「『各教科の平均の和』原理主義者」ではない>
昨日までの続き。
昨日までの話を自分でも読むと私が「各教科の平均の和こそ5教科の平均だ」と主張する「『各教科の平均の和』原理主義者」のように映ったかもしれないと思った。

しかしそれは違うとここで宣言しておきたい。

各教科の平均の和を5教科合計点の平均とするのがあまり適当ではないことは以前から分かっていた。
しかし敢えてそれを載せ続けてきたのは
1)県教委が平成30年度までそれとほぼ同じ数字を掲載していた
2)平成30年度まで多くのところが1)を入試の平均として広く扱ってきた(スタンダードだった)
3)テレビ解答速報番組もその流れで平成31年度以降も各教科の平均の和を使ってきた(2025年春まで)
4)各教科の平均が全日制・定時制・連携型選抜も入れた平均で、「5教科の総点の平均」が全日制限定という、母集団から異なる状態だった
5)以前と比較するのに断絶が生じない
このような理由のためであった。
特に4)に関して、つまり岐阜県の高校入試には長く全日制・定時制・連携型選抜を含めた5教科受検者の「5教科の総点の平均」が存在していなかった。
そのため、各教科の平均点の和という、あまり適当でないものを使わざるを得ない面もあったのだった。

<各教科の平均点の和を5教科合計の平均とするのが適当でない理由>
岐阜県公立高校入試では5教科受検しない生徒もいる。

ア)定時制高校の第一次選抜の大部分の高校の受検生(3教科かそれ以下のところも)
イ)連携型選抜の一部高校の受検生(3教科のところも)
ウ)帰国生徒選抜、外国人生徒選抜の受検生(一律3教科)

しかし各教科の平均点はそれらの生徒のうち、ア)イ)については計算に入れてきた(令和6年度までは入れていたことが県教委発表資料にも書いてある。逆にウ)を入れていないことも書いてある。令和7年度の異変についてはまた別で書く)
だからそれを単純に「足す」という行為は5教科受験していない生徒の部分も含んで5教科の平均と称するものを出していることになる。
5教科受検した生徒だけで「5教科の総点の平均」を出すのが本来当たり前のこと。
しかし定時制第一次選抜と連携型選抜には5教科受ける子と受けない子が混じっている。
だから定時制と連携型選抜を除いて全員5教科受ける全日制高校の受検生だけで「5教科の総点の平均」を出してきたことには一定の合理性がある。
まして令和5年度までは約20分の1の抽出調査。
仮に5教科受けた定時制高校の受検生をその調査対象とすると、ほんの数人だけということになるだろう。
これは統計としてひじょうに危うい。
「5教科の総点の平均」で初めから定時制と連携型選抜を除くのはこの点からも理解できる。
平成31年度~令和6年度までの県教委の平均への対応には一定の理解はできるのである。

問題は平成30年度までの発表の仕方と令和7年度の発表の仕方に絞られてきた(それぞれ抱えている問題が違う)。

<平成30年度までの県教委発表は適当だったのか>
平成30年度まで、県教委発表資料の各教科の平均の表の最後に「計」欄があったことは何度も書いてきた。
それを解答速報も弊塾運営サイトもネット上の各種サイトも書籍も含めていろいろなところが入試の5教科総合平均点として使ってきただろうことも。
その県教委発表の「計」が、各教科の平均の和と完全に「一致してしまっていた」。
「計」が5教科合計点の平均だとすると、
先述したような理由で本来はこの2つが一致するはずもない。
つまり県教委自身が実はあまり適当とはいえない表示を平成30年度までしていたのではないか。
平成31年度からそれを是正した(合計欄を消した)のではないかという疑問が浮上してくるのである。
簡単に言うとこのねじれの発端はその点に集約される。
この「計」欄が平成30年度までの岐阜県公立高校入試の5教科平均点スタンダードになってしまっていた。
そのために「統計の連続性」「過年度比較」という観点から、平成31年度以降もそれを使わざるを得なかったのがテレビ解答速報であり、それに準じたkengakujuku.netであった。

県教委は遅くとも現行制度の初年度(平成25年度)から、各教科の平均点も5教科の総点の平均も全日制限定で出すということでよかったのではないか。
定時制と連携型選抜は抽出調査にすると人数がかなり少なくなるので対象から外したという理由をつけて。
あるいはすべてを入れた各教科の平均を出すのなら、それと別に全日制限定の各教科平均を出すべきではなかったのか。
そんな疑問が浮上する。

他方、解答速報が軌道修正するとしたら、もっと前だったかもしれない。
共通テスト(かつてのセンター試験)のように、各教科の平均は各教科の平均として、それとは別に単純合算でない全日制限定5教科の総点の予想平均を(単純合算に+5点ぐらいをつけて)別で表示するという手もあったのかもしれない。
しかしこういうのは簡単だが、これはかえって視聴者の混乱を招く恐れもある。
大学入学共通テストで受験科目がバラバラなのは当たり前だが、高校入試でごく一部にそういうこと(5教科受検していない)があることはあまり広く知られていない。
だから
現場で「5教科の総点の予想平均」を独立して書くのは困難だったかもしれない。

いずれにしろ、kengakujuku.netは平均点の取り扱いを主導する立場にない。
県教委が「合計」と表示しているものを記載する(平成30年度まで)。
解答速報が比較対象としてきた「合計」を記載する(平成31年度から)。
それ以外の選択肢はなかった。

kengakujuku.netがテレビ解答速報の予想平均との比較をしないサイトだったら。
例えば平成31年度以降は全日制限定の「5教科の総点の平均」を合計の平均とする選択肢があったか。

考えてみたがそれは難しかったかもしれない。
ずっと制度を見つめてきただけに、上述した平成30年度までの資料との連続性の維持に苦しむことになる。
平成30年度まで使っていた数字と全く別の土俵の数字を平均点として掲げることは(遡って訂正しないと)比較の対象としての資料にならない。
解答速報のことなど気にせずに平均点を掲載していたとしても、難しい判断が迫られただろう。
やはり当時でも併記が精一杯だったかもしれないなと思う。

<新たな平均を巡る迷走>   

昨年令和7年度の県教委発表の「異変」については昨日も触れたことだが明日また書く。
令和7年度から、再び平均は「迷路」に入ってしまう。
そんな中で今年、テレビ解答速報制作者は一つの決断を迫られた。

次回は令和7年度発表の話へ。

岐阜県大垣市の学習塾「賢学塾」です。