国立大学の授業料の話は以前も書いたが
昨日の「大学受験さらに大学とさらにお金がかかる」話の続きのような話題になっているが、国立大学の授業料も個別に値上げの動きが広がっている。
昔は国立大学の授業料というと一律だったが、「国立大学法人」になった今は国が定める「標準額」から一定幅(20%)で値上げする裁量が各国立大学法人に認められている。
首都圏の国立大学がまず標準額から外れていったが、この地方でもついにその波が来始めたという話。
名古屋工業大学、授業料2割値上げへ 2026年度から年額64万2960円に、首都圏以外の国立大学で初:中日新聞Web
https://www.chunichi.co.jp/article/1139047
名古屋工業大は26日、2026年度から授業料を現行の年額53万5800円から64万2960円に値上げすると発表した。値上げ幅は10万7160円で、文部科学省令が定める値上げ幅上限の2割増となる。同省が標準額53万5800円を設定した05年度以降、首都圏以外の国立大が授業料の値上げを決めるのは初めて。
小畑誠学長はこの日、同大で会見し、「物価や人件費の上昇で家庭の負担が増えている現状を重く受け止めつつ、このようなお願いに至ったことを心よりおわびする」とした上で、「多様な価値観を備え、新たな時代に即した確かな技術や知識を身に付け、社会で活躍できる自立した技術者、研究者の育成のため、計画的に投資を進めていく」と強調した。
私が高校生のとき「昔の国立大学の授業料はかなり安かった」という話を聞いた記憶がある。
実際、いまちょこっと調べても例えば1960年代は国立大学の「年間」授業料が大卒初任給(月額)より安かったという「パラダイス」状態だった。
そんな昔に戻せとまでは言わないが(戻せるものなら戻したほうがいいことは言うまでもない)、「国立」大学がいまの水準でいいのだろうかという思いはある。
名工大がこういう結論に至ったのは、国が交付金を太くするどころかじわじわ細らせていく中での苦渋の決断であっただろうことは想像に難くない。
裁量幅の上限まで上げる大学がさらに増えれば、国が標準額そのものを改定することにつながる。
今のところ直ちに引き上げる予定はないという他大学(名大などもそうらしい)はそれを待っているのかもしれない。
物価が上がれば授業料も上がって当然という見方もあろうが、高校までは私立も含めて授業料を無償化しようという昨今の流れの中で、大学の授業料が国立も私立も高いことが悪目立ちしている。
無償化しろとはまでは言わなくても、何とかならないのだろうか。
教育は国の根幹だ。
経済中心目線で考えても資源のない、国土も狭い国が人に投資しなければ何も残らないことは火を見るより明らかなことだ。
少子化が進んで一人あたりにかける公的費用は増やせる局面なのに、この国は何をやっているんだろう。
この国がどこに向かおうとしているのか、不安になることが最近多い。