合格発表当日の変化
昨日書いたことの続きで以前も書いたことだが、合格発表の日の私の行動もだいぶん変わる。
来年春からは自宅で(塾に行っているかもしれないが)塾生(本人または保護者さま)からの電話またはメールまたはLINEでの連絡を待つしかない。
この仕事を始めてから30年近く、合格発表の日は各高校を回って番号を確認に行くのが常であったから(脳幹出血で倒れて休業していた年だけやっていないが)、それをやらないというのは実に感慨深い。
これで公立高校に私が出かける用事もゼロとなったということも以前も書いたか。
大昔は合格発表だけでなく出願者数の掲示も見に行っていたから2月~3月には何度か各高校に行く機会があったのだ。
高校で卒業生にばったり会ったり、某高校の玄関先では高校の先生と「議論」したり、いろんな思い出がある。
同業者に遭遇することもしばしばあった。
残酷な現場も見てきた。
最近この地区ではあまり見られず平和な状態だが、数十人レベルで不合格者が出る高校では、残念な結果だった子たちが家族と一緒にぞろぞろ帰宅する列とすれ違うこともあった。
何度見てもつらいものだった。
あっけらかんとした子やさばさばした子もいれば、号泣する子、静かに落ち込んでいる子もいて、自分とは関係のない子たちといっても併願先でよい高校生活が送れますようにと願うばかりだった。
WEBシステムとの併用となったこの2年、倍率の高い高校でもすでにこういう光景が見られなくなってきていた。
家で確認してから現地に向かったり、9時に間に合うよう現地に行っても車中でスマホで確認してからおもむろに降車するという子も少なくなかったからだ。
もちろん午前9時に掲示板に向かっていって…という子たちはこの春でも見たが、WEBシステム導入前の時代ほどの混雑はなくなっていた。
そういうわけでWEBオンリーになっても掲示板前で番号を差しながら合格者が記念撮影をする風景が消える程度のことで、受験生(受検生)や保護者には影響はあまりないかもしれない。
昨今世間で相次いでいる企業でのシステムトラブルを見ていると、岐阜県公立高校入試のWEB出願システムでああいうことがあったらどうなるだろうというのはちょっと気にはなるが、見るに忍びない光景がなくなっていくのはよかったと思う。
どんな形で発表されても結果は結果なのだから、残念な結果に終わった子を晒し者にするような状況はないほうがいい。
総合的に考えるとここしばらく続いた掲示とWebの併用が一番良かったと個人的には思うのだが、掲示を作ってはり出す高校側の負担も考えてのことであろう。
この変化による実際の影響が大きいのは私たちのほうかもしれない。
なかなか連絡をくれない子がいたら、こちらでは確認しようがないため、いつまでもドキドキすることになる。
ドキドキした挙げ句、耐えきれずこちらから連絡したら「今、お店に来て制服の採寸をしてもらっているところなんですよ~」なんて明るく言われたりして。
弊塾生・保護者様に限ってそんなことは流石にないと思うが。
幸い、四半世紀以上やっていて当日の昼下がりになっても連絡が無い子はほぼいなかった。
が、高校を順番に回っている私が番号を確認するのが先になった子たちはいた。
合格発表に続いて合格者説明会などが引き続きある高校がほとんどだから、合格者とその保護者は忙しい。
そのため発表直後の数十分を逃すと昼ごろまで連絡できないということが多い。
昔々の携帯のない時代、おそらく塾には午前中に連絡なんてできなかっただろう。
発表直後、公衆電話に長時間並んで塾にわざわざ電話をしてくださるなんてよほどのことである。
流石に携帯がなかった時代の塾への連絡事情のことは私もほとんど知らない(私自身が高校に合格した遠い昔は携帯のない時代だったが、塾に通っていなかったのでそういう必要がなかった)。
この塾ができた頃は携帯が普及していてもまだ音声通話が主流だった時代だろうか。
高校周辺から午前9時台にみんなが一斉に電話をかけるから電波がパンクして「つながらない」なんてこともあった。
またつながっても今度はこちらの電話が通話中になっていて受けられなかったり(2回線用意して受けられるようにしていた年もあったのだが)。
・・・ということがあっても、自分で掲示を見て回れば塾生が無事に合格できていることが分かったので、合格発表日の午後まで結果が分からないなんてことはなかったのだった。
また思い出話を書いてしまったが、そんな昔がすべて懐かしい。
閑話休題。
うちに限らずどこか塾に通っている方は、お通いの塾へも合格の連絡をしてあげてください。
賢学塾からのお願いであった(って誰が見ているのか)。

