励み

入院していた病院に来ると、3年前を思い出す。
  
  
  
  
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3年前の今頃は病院の中だった。
天井の模様を数える毎日にそろそろ飽きてきた頃だ。
左脚に頑丈な装具をつけてもらって、平行棒につかまって数m歩くのが精一杯だった頃だ。
こんなことを続けていて本当に普通に歩けるようになるのだろうかと思っていた。
3年後には6km/h以上ですたすた歩けているよ、とタイムマシーンに乗って教えに行きたいところだが、教えに行っても信じないだろうという段階だ。
   
  
  
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病院に着くと、5階のあの辺りが前半(急性期)の病室だったな。
7階のあの辺りが後半(回復期)の病室だったな、などと下から見上げる。
病室でお世話になった看護師さんたちやリハビリでお世話になった理学療法士さん作業療法士さん言語聴覚士さんたちはお元気だろうか。
特にリハビリのみなさんには「こんなに普通に動いていますよ。リハビリの成果ですよ。ありがとうございます」と見せに行きたいぐらいのものだ。
若い方たちが多かった。
自分たちが関わった人間の現況を知ると、彼らもきっと多少の励みにはなるだろう。
  
  
  
  
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その辺りは私の仕事と似ているところもある。
高校に無事送り出したところでまずはうれしいのだが、その先のことも当然気になる。
だが中学校を出た後の卒業生の彼ら彼女らには、中学時代の塾に敢えて何かを報告する義務はない。
中学校にだってわざわざ報告する子もそうはいないだろう(私もした覚えがない)
こちらも報告してほしいとは要望していないが、自発的に進学や就職の報告をしに来てくれたり、メールをくれたりする子が毎年いる。
どんな進路でも、ちゃんと成長していますよということがわかるだけで嬉しいものだ。
彼ら彼女らの人生の一コマに関われたことが私の仕事の励みになっている。
  
  
  
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