アメリカ大統領選挙

昨日はアメリカ大統領選挙のニュースばかりだった。
トランプが勝った。
バブル経済以降30年以上経済成長が止まっているような日本と比べるとずっと裕福で繁栄しているようにみえるアメリカだが、彼の国の人たちには相当不満が溜まっていたようだ。
生活が経済が苦しくなれば為政者(政権側)が批判されるのは日本でもアメリカでも同じ。
トランプの行状がどうだったとかハリスの主張がどうだったとかいう以前の問題だったのだろう。
アメリカ国内の現状もよく知らない素人があれこれ考えても仕方がないことだが。

アメリカの大統領選挙は間接選挙だ。
州ごとに割り当てられた数の大統領選挙人を選んで、その選挙人が来年1月にワシントンに集まって大統領を選ぶ。

この前、中3が社会でやった民主選挙の4原則の一つに「直接選挙」というのがあるが、それに見事に反している。
今回は総得票数と選挙人獲得数が一致したので何の問題もないが、以前には全体の総得票数と選挙人獲得数が違うときもあった。
最近では2000年や2016年がそうだったか(最近多い)
アメリカが州(state:国)がunitedして成り立っていることや、今日のように通信手段が発達する前から大統領選挙が行われてきたことがその背景として説明されるが、民主的かどうかといわれたらそうではないだろう。
選挙結果の問題だけでなく、選挙人の獲得のために一部のスイングステート(選挙ごとに結果が変わる接戦州)の選挙戦にどっちの陣営も力を注いでその声を大きく取り入れようとしていることからも、合衆国全体で見たときに民主的であるとはいえない。

ただ、連邦制をよく体現しているといわれたらそうかもしれない。
連邦議会上院のような各州均等の代表者数でもなく(そうなれば有権者に対して著しく不平等になる)、ある程度は人口に対応しているから(選挙人の数は上院の議員数+人口比例の下院の議員数が割り当てられる)、著しく不平等とも言えない。
アメリカ国民がそういう制度を選択し続けているのだから日本国民が何を言っても仕方がないのだけど。
選挙の矛盾を言い始めたら、日本の衆議院の選挙制度「小選挙区比例代表並立制」にも矛盾がないわけではない。
圧倒的な差で議員を当選させる選挙区からは1人しか選ばれないことがほとんどだが、僅差の勝負になったところからは2人3人と議員が比例復活で当選することも多く、それに矛盾を感じる人も少なくない。
完全な選挙制度は存在しない。

…なーんて話を昔は授業でよくしていたのだが、最近はそんな話を授業の中ですることもなくなってきた。
公民分野を中3の初めからやらなくなって、公民の授業スケジュールが窮屈になってきたうえ、秋という押し迫った時期に選挙を含む政治分野の授業もやるようになり、そんな暇がないというのがある。
少し寂しいのだった。