また他県の話題から(高校再編統合の話)

岐阜県の公立高校再編統合の話がちっとも進む様子がないので、また他県の話題に逃げる。
お隣の富山県の話。


富山県立高の将来は? 再編第1期の5校開校「1年延期する」と知事:朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASTBG4S2XTBGPUZB004M.html
県は2028年度に中規模5校の開校を目指していたが、新田八朗知事は1年延期する考えを示した。理由について県教育委員会は、5校の学習内容が固まっておらず、議論が必要になったとしている。
委員からは「もっと教育内容の具体像を示すべきだ」「スケジュールありきではなく、幅広い検討が必要だ」などの要望や意見が相次いだ。

議論後に新田知事が「開校を29年度に延期する」と述べた。ただ、現在の34校を33年度ごろに26校程度、38年度に20校程度にする全体のスケジュールに変更はないという。



このニュースを県外の私から見たポイントはいくつかある。

一つ目に、富山県は単なる高校の統廃合ではなく、


「未来探求」の4校と、英語力を向上させ、国際感覚を養う「グローバル」の1校を設置する方針


という具合に、再編させる高校の味付けも考えているという点。
既存の学校をそのままくっつけるという発想ではなく、新しい中身をいろいろ考えているからこそ「具体像を」とか「幅広い検討が」という話になる。

もう一つのポイントは全体のスケジュールを明確に示しているところ。
34校(現在)→30校(2028年度)→26校(20
33年度頃)→20校(2038年度頃)という具体的な数字が出ている。(冒頭の記事はこのスケジュールの中の2028年度が2029年度になったということのようだ)
数年後にやるだろうよ~といいながら(そんな口調では言っていないが)具体的なスケジュール一つ出てこない岐阜県とは大違いである。
先日書いたように、岐阜県は今になっても再編統合する上でのグランドデザインやスケジュールすら出すことができないというのはどうなんだろうと思うのだ。

さらにたたき台を示した上でいろんな意見を聞いているところ。
県民からのパブリックコメントや各地での意見交換会、県議会での議論、政党の提言などを踏まえて」議論しているのである。
ある日突然、はい再編します統合しますという話になっていない。

そして4つ目に2028年度からの再編統合を延期する話が2025年度のこの時期に表明されているということ。
いつも書いているどこかの県の発表が遅いのとは対照的である。
これを仮に岐阜県のスケジュール感にあてはめるなら
2028年度の再編統合の中身、2026年度も引き続き考えましょうね。
2027年度中にそれを事務局で具体化して年度末までにちゃんとしたものを出しますね、ぐらいの勢いかもしれない。
それが2025年の今の時点で2028→
2029年度に延期するという話になっているのだから。
もう羨ましくてしかたがないほど早いのである。
そして先の話とも関連するが、裏で秘密裏に進めているならある日突然表に出せばいいのだから延期の表明そのものが要らない。

気になったので富山県のサイトを見に行く。

・「新時代とやまハイスクール構想」基本方針(PDF:2,598KB)

こういうものがあった。
全部紹介したいぐらい中身が具体的で濃い計画。
詳細は上のPDFをご覧になるとよい。


• 令和20年度に、20~22校を目安とする新時代HSを設置することになるため、その5年前頃(令和15年度頃)まで、10年前頃(令和10年度頃)までに目指す「配置の姿」を描く。
• 新時代HSを計画的に開設できるよう、現在の全ての県立高校(全日制)を「移行準備校」に位置づけ、学科改編等の準備を進める。


県立高校すべてが「移行準備校」という扱いで、不人気校だけつまみ上げて何とかする弥縫策的な対応ではないようだ。
全体の姿から具体的なスケジュールまで書いてある。
こんな綿密な行動計画をちゃんと表に出して広く意見も聞いて(それが反映されているかどうかは知らないが)進めているという姿に感銘を受けた。
どこかの県は今のもたつき具合からしてだいぶん前のようにまた突然、こそこそ隠れて決めたことをぎりぎりのタイミングで出すのかもしれないが、それとは大違いである。

私がここでこんなことを書いたところで「どこかの県」が何も変わらないことは承知しているので文字通りの独り言。
本来なら県議会にもっと動いてほしいところだが、議員さんたちにも関心がないのか、それとも自分の選挙区の高校が減る(かもしれない)というマイナスな話なのでなるべく触れたくないのか、議論は低調である(ように見える)
しかし先送りしようが触れずにいようが子どもの数はどんどん減っている。
高校の再編統合は避けて通れない現実。
すぐ隣県でこんなに具体的に話が進んでいることに驚くとともに、我が県の現状を嘆くのであった。

      

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