「学ぶ態度」は評定の対象外に 次期学習指導要領、文科省が方針転換 | 毎日新聞
文部科学省は4日、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別部会で、従来の成績評価の方法を見直し、評定を付ける際に「主体的に学習に取り組む態度」(主体的な態度)を考慮しないとする案を示した。
文科省によると「主体的な態度」の具体的な評価基準は「粘り強さ」や「自己調整」の二つ。内容があいまいで、評価理由を保護者らに対して客観的に説明するためにノート提出の頻度や課題提出の締め切りを守れるかどうかなど形式的な「勤勉さ」の評価にとどまる事例もあったという。
評定を付ける頻度も見直す。・・・(中略)・・・教員の労力を学習改善に向けてもらうため、今後は年度末にのみ評定を示すことが可能であると明示する。
https://mainichi.jp/articles/20250704/k00/00m/040/301000c
今の指導要領から入った評価観点「主体的に取り組む態度」がなくなるというのである。
かわりにそれ以前にあった「関心・意欲・態度」が復活するのかと思ったら、そうではなくて3観点評価を「知識・技能」「思考・判断・表現」の2観点評価に整理するのだという。
内申点の評価で「関心・意欲・態度」が重要視される流れが始まったのは平成の初め頃か。
社会と絡めていえば、バブル経済以後ずっとこういう評価の流れが強化されてきたともいえる。
そして、今の「主体的に取り組む態度」で頂点に達したといっていいのだろうか(専門家でないので適当に書いている)。
その流れが大きく変わるということか。
そうやって改めて歴史を振り返ると、今の保護者世代も強弱は別にしてこういう流れの中の中学生だった人がほとんどだろう。
保護者世代の感覚からも大きく変わる可能性があるということである。
内申点と実際の学力との乖離が叫ばれて久しいが、その転換につながる可能性にもひろがる話である。
・・・と、この記事を見てそう思った私に釘を刺すかのように
「(主体的な態度の)重要性が低くなったという印象を持たせないことが大事だ」といった意見や「知識・技能中心の(評価の)あり方に戻すと短絡的にとられないか。丁寧に議論しないと、詰め込み式の学力重視の評価に戻ってしまう恐れもある」といった懸念の声も上がった。
という中教審の委員の声も載っていた。
短絡的といわれてしまった(苦笑)。
何らかの形で態度的な部分の評価を残したい意見もあるようだ。
どうなるのか、注目していきたい。
内申点の評価の仕方の変更は入試に直結する話題でもある。
文科省は次期指導要領の実施にあわせて変えたいようだから、今の小学校低学年が中学生になったころには完全にこの転換の影響を受けた評定が中学校でつけられることになるのだろう。
以前から書いているように今の小学生が高校受験する頃には公立高校の再編も始まっている(はず)だ。
今の小学生の頃には来年度から始まる(はずの)私立も含めた高校授業料無償化がすっかり定着し、公立・私立の高校を巡る状況も大きく変わっているだろう。
今は嵐の前の静けさ(公立高校再編もまだ始まっていないし、授業料無償化に伴う公立私立大競争時代も来年度から)ということか。
それから気になったのは、上に載せた記事の一番最後のほうの部分。
仮に通知表を年度末にしか発行しないことがスタンダードになれば(今は学期ごとの発行が8割だという)、二期制(前期・後期制)のメリットはほぼ消えるのではないか。
そもそも学期という概念に意味がなくなるのかもしれない。
他方、年度の途中で評価がもらえないとなると年度の途中からの成績の立て直しが難しい。
何となく1年間過ごしてきて気づいたら年度末に悪い評価をつけられていたということになりかねない。
だから私は年度末だけの評価というのには反対だが、この動きも目が離せない。