高校完全無償化と私立高校と公立高校の再編と

いま国レベルで(政府与党と一部の野党間で)所得制限無しの完全な高校無償化(公立も私立も)が話し合われている。

結論がどうなるのかはまだ見えてこない。

これだけ騒いで何も変わらない可能性もある。

が、実現した場合、この岐阜県でも高校入試を巡る環境が激変する可能性がある。
公立私立の経済的負担の差が完全になくなった結果、私立高校の人気が上がる可能性がすぐに考えられるが、そればかりではない。

公立高校第一志望という場合でも、公立に不合格になって併願私立に行くことにこの地方の社会全体で今よりも抵抗が小さくなるかもしれない(受験生個人の「不合格」への心理的負担は変わらないと思うが)
その結果、一部の公立人気校の倍率は上がる可能性もある。
そういう「大競争時代」に入れば、割を食うのは今でも既に不人気で定員割れが続いているような公立高校だろうか。

しかし、現状でもそういう公立高校が幅広く高校の教育を提供する最終的な受け皿となっており、大競争時代になるかもしれない今後もその立場は変わらないだろう。

どうするのか。

単純に今ある高校を今の形で残すということには当然無理があるにしても、以前話し合われていたような「活性化」策にとどまらない、ドラスティックな何かがあればよいのだが。

一方で、限られた財源の有効活用というだけでなく教職員の効率的配置という点においても公立高校の整理統合は避けられない。
大競争時代、私学も勝ち抜かないといけないが、公立も勝ち抜かなければならない。
力を分散させているわけにはいかないし、今のように小規模校が乱立している状態は子どもの学習環境にとっても適切だとも思えない。
たとえば選択科目や部活動その他の諸活動を充実させたくても、規模が小さければ教員の配置も限られるので仕事を増やす方向には行きづらいだろう。

そして県内公立高校は校舎の更新時期だ。
今あるすべての公立高校の建て替えは少子化が進むこれからを睨んでも明らかに無駄であろう。
岐阜県が先送りした際に令和11年度(2024年度現在の小5が受ける入試)からやるとした高校再編本格化を前に、課題が一つ増えたかもしれない。
私学を含めた総合的なバランスで高校のあり方を決めていかないといけない。

他方、私立高校にとっては完全無償化が実現すれば追い風だろう。
というか今、苦境に置かれているところも、これを追い風にしないといけないだろう。
少子化がどんどん進む中での最後のチャンスかもしれない。

高校入試を扱う立場からも、国の政治の動きはしばらく目が離せない。
(入試も新年度のこともあるのでそんなに熱心に観察しているわけにも行かないのだが)