授業料無償化の先には…

1か月ほど前のニュースだが、これは既に私立高校まで含めた高校授業料無償化を実施している大阪府での状況。


今春の私立高進学、大阪初の4割超える推計…授業料の完全無償化で人気が加速 : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20250822-OYO1T50049/
大阪私立中学校高等学校連合会は22日
(8月22日)
、今春、府内の高校に入学した府内の公立中学校卒業生のうち、私立への進学者が初めて4割を超えたとする推計を発表した。府が進める高校授業料の完全無償化により、私立高人気が高まっている。
今春の私立高入試では専願の受験生が35%を占め、完全無償化前の23年度(29%)から増えている。


大阪では2010年まで公立:私立=7:3になるように設計されてきたという話だが、これが昨年は6:4になったということである。
この記事には書いていないが、逆に公立高校は定員割れのところが増えており、統廃合が続いている。

何度も書いているが岐阜県は公立高校の再編統合を先送りした結果、いま既に定員割れが常態化している公立高校が多く、ここに来年度から「授業料無償化」の波が押し寄せる。
大阪の事例を参考にすると、さらに公立高校の募集状況が悪くなる可能性がある。
今の岐阜県では公立:私立=8:2ぐらいだから、無償化されたからといって大阪府のように6:4まではいくことはないだろうが、私立高校への進学者は増えるだろう。
数年後から始まる(はずの)岐阜県の公立高校再編統合ではこういう動きも見通さないと(何年か前に再編統合を検討した末に先送りしたときには通信制高校へのシフトを予見できていなかった。コロナ禍を挟んでいるのでやむを得ない部分はあるが)、また「想定外」だったということになるかもしれない。
県内の高校という枠で書いてきたが、通える範囲の地域を中心に愛知県の私立高校に通う生徒が増える可能性もあり、これは県内の公立・私立関係なく脅威となる。

これらとは反対方向へ動く可能性の話としては通信制高校の扱いがある。
自民党がどうも広域通信制高校を制度から外したいと考えているようで、これには当然批判もあり、また自公維3党の協議で通るのかどうかも不明だが
、仮にそうなれば通信制高校の人気が一息つく可能性もある。
だからといって県内の全日制高校に生徒が回帰するとは限らないが(通信制を選択する生徒にはそれぞれ選択した理由があるだろう)、注意して見ていきたい事象ではある。



【高校無償化】外国人生徒の一部と広域通信制は対象外も 自民会合
https://www.kyobun.co.jp/article/2025091002
広域通信制高校は対象外とする方向で検討を進めていることを明らかにした。ただし、「現在学んでいる生徒への支援をなくすことは考えておらず、別の予算措置で支援を検討したい」とも述べて、詳細な制度設計を急ぐ意向を示した。



こんなふうに来春からのことがまだきちんと決まっていない。
また書くが(何度でも書く)、とにかく異常なのである。

 

岐阜県大垣市の学習塾「賢学塾」です。