得点分布に注目してみる3(先日発表された2025年春岐阜県公立高校入試の平均点ほか成績の話から)

岐阜県公立高校入試といえば国語の話を外すことはできないだろう。

難しいからではない。

易しいからである。

現行制度になってからの入試(13回)のうち8回で平均点が70点以上。
70点未満の年も68点や69点という年ばかり(68点が2回、69点が2回)
その中で2018年春入試だけが66点でこれが現行制度で最低の平均点なのだから、いかに国語の平均が高いかわかる。
比較的安定して「易しい」のだ。
これはもうずっとそうで「・・・といっても来年どうなるかなんて分からない
」と言い続けて30年が経つ。
まずは今春・2025年春入試の国語の得点分布から見てみよう。

平均77点というのは高いことが多い国語の中でも特に高い平均となったが(2017年春、2019年春と並んで現行制度で最高)、この分布を見ればさもありなんである。
80点以上の生徒が54%以上もいる。
90点以上がもっとも多い階層という分布という、きれいな坂になっている(苦笑)。
さすがにこの反動が来てもおかしくないぐらい簡単であった(2017年春も2019年春も次の年には平均点が下がっている。特に2017年春→2018年春では平均点が11点も下がった(といっても66点であるが、これが現行制度最低平均点)。もちろん来年どうなるかは分からない。76点だった2021年春と2024年春は翌年もほぼ変わらなかったのである)

今春(2025年春)入試と平均点が同じだった2019年春入試の国語がこちら。
同じ平均点でも最上位層でグラフが折れているのがちょっと違う。

 

      

ちなみに現行制度で国語の平均点が過去最低(66点)だったのが2018年春入試で、そのときの国語の分布はこちら。

これでも3割の生徒が80点以上、そして5割の受検生が70点以上をとっている。
繰り返しになるが、これが一番国語の平均点が低かった年なのである。

  

  

   

話がずれるが・・・2018年春入試を例に出したので話を敢えて逸らそう。
この年の入試が実は
平均点の割に上位層にわりと厳しい入試だった。
これが2018年春入試の5教科合計の得点分布(以前も紹介したかもしれない)

この年の450点以上が3.7%。
この投稿のシリーズを最初から読んでいる人にはおわかりだろうが、8%もいた今年と比べると約半分しかいない。
最上位層の景色が全然違う。
5教科合計平均が305点でそれほど低いとはいえない入試だったが、上位層に関しては結構厳しいものになった。
この年に関しては430~440点から上が今年の450点以上と同じ感じだったかもしれない。
(2025年8月現在)の大卒社会人1年目(浪人・留年していない計算)の人たちが受けた岐阜県公立高校入試は、今年とは平均が5教科合計で5点しか違っていないが、それ以上に上位層にとっては違う入試だったのである。

ちなみに現行制度下で最上位層にとって最も厳しかったのは(以前も書いた気もするが)2020年春入試。
(2025年8月現在)の大学3年生(浪人・留年していない計算)の人たちが受けた岐阜県公立高校入試である。

現行制度で2番目に平均が低い年だが(296点)、450点以上の最上位層は2.6%しかいない。
易しめだった今年と比較するのも何だか、敢えて比較するとこんな感じだ。

最上位層が少なかっただけでなく、中位レベルまでもだいぶん下に押し下げられている様子がわかる(250点未満の下位層はそんなにかわらない)
この子たちの感覚だと、今年の入試で見られた様々な現象はちょっと信じられなくても不思議はない。

高校入試の状況は毎年変わる。

出願状況(倍率)はさておき、これまで見てきたように学力検査だけに焦点をあてても、平均点も変われば同じような平均点でも得点分布が大きく違うこともある。

この一連のネタ、他教科も掘り下げたらまだまだいろいろ書けるのだが、今日はこれまでとしよう。