公立小学校の給食費「無償化」⋯どうなるのかな。

すでに方針が合意されたはずの来春(2026年4月)からの公立小学校給食費の無償化。
ここに来て高校授業料無償化の最終決着前と同じように迷走しているようだ。
こっちは要するに誰がお金を負担するのかというところがネックになっている模様。


給食費、国費での完全無償化は断念 自治体にも負担要請へ 3党協議 | 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20251204/k00/00m/010/334000c
2026年4月に開始予定とする公立小学校の給食無償化を巡り、自民、日本維新の会、公明の3党は4日、国会内で実務者協議を開いた。国による全額負担に対しては慎重な意見が出ており、国費による完全無償化を断念。自治体にも一定の負担を求める方向で詰めの調整をしている。

ただ、自治体側の反発は強い上、保護者に負担を求める自治体が出ることも想定される。保護者の負担をゼロにする「無償化」が看板倒れになり、「公費による保護者負担の軽減」にとどまる可能性も出てきた。
また、柴山氏らからは「無償化という言葉遣いも考えていく必要がある」と報道陣に要望もあった。自治体によっては保護者負担が生じる場合を念頭に置いたとみられる。
3党協議では23年の文部科学省による実態調査を基にした給食費の1人あたりの月額平均額だった約4700円を支援額の基準とする案が出ており、11月中に結論を取りまとめる意向を示していたが、まだ合意に至っていない。


記事にある「自治体にも一定の負担を求める」ことについての詳細がこの記事からは読み取れなかった。
生活保護費のような国:地方=4:1というような一定の分担を想定しているのか。
それとも支援額の標準とする案が出ている4,700円を超えた分を地方負担とするのか。

前者であれば地方との調整が難航しそうだし、後者もまだ無償化していない自治体にとっては新たな負担発生となり、記事のように一部を保護者負担とする自治体も出てくるかもしれない。
月4700円の支援額を標準とすると、それを超過する自治体が多く出る話は以前も書いた。

ちなみに(そのとき書いたように)大垣市は小学生の場合、月4,900円だから200円の超過。
4,700円が国の負担額と仮定すると、完全無償化しようとしたら月200円×8,000人弱(小1~小6の大垣市内の児童数)=月額160万円の新たな予算が必要という計算になる。

今の給食費の設定も昨今の食材高騰の中で妥当かどうかという話にはなっているはずだ。
おそらく必死にやり繰りしての金額だろうから、給食充実のために金額を引き上げたいところかもしれない

超過が200円で済むかどうか。
その金額(4,900円)自体が現下の状況で望ましい給食を提供する金額として妥当なのかどうか。

超過分の扱いが各自治体判断となった場合、200円で済むなら大垣市が負担してほしいところ。
だが、これが1,000円とかになってくると大垣市の児童数の規模で億に迫る単位のお金になる。
自治体によって対応が分かれるかもしれない。
仮にそれが保護者負担となったら「無償化」というのは記事の指摘通り「看板倒れ」。
自民党側から「無償化という言葉遣いも考えていく必要がある」という声が出ているというのは、現段階で予防線を張っているということだろう。

仮に給食費完全無償化が成っても他の費用は残る。
つまり小学校に関わる月々の費用が完全無償になるわけではない(そういう完全無償の自治体もあることは以前書いた)から、上に書いたようなことはそれほど大きな問題ではないのかもしれない。
しかし「給食費無償化」方針で合意したのが最終的に一部保護者負担になったとしたら、それは何かおかしい気がしないでもない。
他方で月4,700円を国が負担してくれるなら仮に1,000円保護者が負担してもより充実した給食にしてほしいという意見もあるかもしれない(現段階で無償化していない大垣市のようなところでは今より負担が軽くなって充実するのだからそれでいいという意見)
おそらく保護者の意見もいろいろ分かれるところだろう。

国がどう決着させて、それを大垣市なり他の自治体がどう反映させていくのか。
来年4月からのことがまだ決まらないという話であった。

   

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