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なぜ今、新中1に高校入試の話か ―岐阜県教育委員会が公開したチラシを読む

岐阜県教育委員会が、小学生向けチラシ「来春から中学生になる皆さんへ」 という文書を1月8日付でネット上に公開していたことを知る。

皆さんに、充実した中学校での時間を過ごしてもらいたいので、少し先の高校入試の情報をお届けします!
小学生向けチラシ「来春から中学生になる皆さんへ」より)

ということで、2026年春から中学生になる子たちに向けて県教委が高校入試について説明するというものである。
こういう取り組みは大変いいことだと思う。
これからも続けてほしい。
ただ、気になるところはいくつもあった。

たとえば、まだ5段階評価の通知表をもらったことがない子たち向けの案内にしては不親切ではないかという点。
高校入試の内申点のつけ方について中3生に説明するかのようにサラッと書いてある。


「調査書の評定」とは、学習の成果を5段階で評価したものです。高校入試では、9教科の「1・2年生の各教科の評定の合計値」と、「3年生の各教科の評定の合計値を2倍した値」を使います。学力検査がある5教科以外も、学校での授業を大切に、しっかり取り組みましょう。
「調査書」とは何ですか?
調査書とは、中学校が作成して、受検する高校に提出する書類です。みなさんの中学校3年間での学習の成果や、活動の記録を、受検する高校に伝えます。
小学生向けチラシ「来春から中学生になる皆さんへ」より)


公的説明の限界なのか、それとも「紙面」の限界なのか、この程度しか書いていない。
評定の合計値とか2倍した値とか言われてもピンとこない子も多いだろう。
学期ごとにもらう通知表→学年評定→調査書という流れも説明できていない。
弊塾でも「中学校では通知表がこんなふうになっていて、その評価はテストの点数だけでなく…」と具体例を出しながら、毎年春に新中1生には時間をかけて詳しく説明するところ。
文書にしたらこんなに簡単な内容では済まない。
相手は新中1生である。
弊塾に限らず、いろんな塾が「中学準備」の中で新中1生にいろいろガイダンスしている。
この文書がその代替になっているとは、とてもいえない。
それともこの資料をもとに現場ではきちんとフォローがされているのだろうか。

・・・などという突っ込みをしながら読んでいたのだが、途中で目が点になる。

中が構成のお兄さん・お姉さんからのアドバイス!
小学生向けチラシ「来春から中学生になる皆さんへ」より)

「中学生」と打つところを「ちゅうがこうせい」と打ち間違えてそのまま変換した結果だろうことは想像できる。
ありがちなミスではある。
あわてて作ってノーチェックだった、もしくはチェックをすり抜けてしまったのだろうか。
それとも何か違う原因でもあったのだろうか。
県教委が公式にサイトに掲出している文書である。
私のブログ記事ではない。
その昔、この時期に出した塾内配布の日程表でこういう類のミスをやらかして「『珍しいね』とお母さんが言っていた」と塾生から聞いた自分を思い出してしまう。
担当者が忙しかっただけだろうか。
ここでは
派手に間違えていることをあげつらうつもりはなく、中で何が起こっているのかが心配になった。
もとが単純ミスにしろ、それを見逃してしまう何かが組織にあるのか。

閑話休題。

今これを出してきた意味を考える。
前の教育長は「令和10年度(2028年春)までは県立高校の統合・再編を行わない」と答弁している(令和元年(2018年)12月 岐阜県議会第5回定例会の当時の県教育長の答弁)
またその後の「岐阜県立高等学校の活性化に関する検討まとめ」<令和元年度>(令和2年3月岐阜県教育委員会発行)でも同様に記載されている。
その後、何度か現教育長も含めてこの件について議会
答弁しているが、この方針を変更したという話を私は聞いていない。
第4次岐阜県教育振興基本計画(2024年度から2028年度)でも、県立高校のあり方について「検討に着手します」と宣言されている。

これは以前からここでも書いていること。
改めてその令和元年度の「活性化に関する検討まとめ」の一部を引用する。


一方、今後の県内高校入学者数は、令和 10 年度までは1万7千人から 1万 8千人で大きくは変化しない見込みであることから、当面は、再編統合を行うこ
となく活性化の取組を継続することで学校の小規模化に対応していく こととする 。
しかし、令和 11 年度以降には、急激な生徒数の減少が見込まれることから、令和6年度からの5年間を計画期間とする県の次期教育振興基本計画の策定に向けては、活性化策の成果を十分に見極めながら、県立高校の在り方についての方向性を定める予定である。
(「岐阜県立高等学校の活性化に関する検討まとめ」<令和元年度>(令和2年3月岐阜県教育委員会発行)より


新中1生がその「急激な生徒数の減少が見込まれる」最初の世代(=令和11年度(2029年春)高校入学世代)。
つまりこの春(2026年春)の新中1生が高校入試を受けるときには、公立高校の再編・統合の可能性があることが県教委から示唆されているということ。
昨秋の県議会でもそういう不安を受けての本会議質問に対して県教育長答弁がゼロ回答(中身のある回答なし)であったことは書いた。
いま検討の最中ですぐ何かを伝えられないので、とりあえず高校入試について何かを出しておこうかと(ちょっと方向が違う気もするが)文書を出したということだろうか。

ただ、不安の本質はそこではなく、公立高校再編統合がどうなるのか、その道筋が見えてこないところだと思うのだが。
少子化の進行を見据え、他県では公立高校の再編統合計画がどんどん出ている。
岐阜県だけ現状のままで変わらないとは誰も思っていないだろう。

    

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