こだわり

今年で最後の特色化選抜学力検査。
問題の研究はこれからですが、
例年通りの問題書式、例年通りの解答用紙だったもよう。
以前から書いているように、
ウチの塾生たちはこの書式ほぼそのままで
過去問5年分+そっくり演習6回=計11回
(+2周目をやっている生徒はそれ以上)練習しましたから、
落ち着いて問題に取り組めただろうと思います。
(そりゃもちろん、彼らの実力に応じて、解けた、解けないという差はあるでしょうけど。)

Photo_2

(左がウチの塾で作った「そっくり演習」問題、右が去年の生徒が持ってきた本物の特色化選抜問題の写し)
 
 
 
特色化選抜の問題は3教科混成という
普通の試験とは全然違う形式ですから、慣れも重要です。
慣れているかいないかで結果も変わってきます。
だからウチの塾生には、とにかく慣れてもらいました。
(もちろん(これも以前から書いているように)それだけをやっていたわけではありませんが)
 
 
それについて、こんな話があります。
去年、特色化で合格した塾生が話していたのですが、
同じ高校を受けた(ウチの塾生ではない)友人が
「社会の大問7番をまるごとやり忘れた」そうです。
これだけ聞くと不注意きわまりないのですが、
(実際、後述するように不注意であることは間違いありませんが)
これには一つの「からくり」があります。
例年、検査Aの問題用紙の7ページ、
つまり冊子の裏表紙にあたる最後のページに
社会の大問7番がまるごと存在し、
解答用紙も同じく大問7番だけがまるごと裏面にあります。
大問6番まで解き終えると6ページ目がちょうど終わり
(次の7ページは裏表紙)
しかも解答用紙も表面の一番下までいきますから
「これで終わった」と勘違いしやすい構成になっているのです。
解答用紙に裏があるのは社会だけではなく
特色化選抜では英語以外の4教科の解答用紙全てに
裏面があるのですが、
国語や数学や理科の場合、
問題がちょうど見開き2ページという構成になっていますから、
問題を順に解いていけば、
解答用紙に裏面があろうがなかろうが、
問題をやり忘れる可能性はゼロと言っていいでしょう。
社会だけが、見開き2ページ+1ページという問題構成と
解答用紙両面という合わせ技によって
大問一つがまるごと見えにくくなるという、
「意地悪」な「トラップ」のかかった状態になっているのです。
(と書きましたが、社会の問題が7ページ目にもあることは
 6ページの一番下に注意書きしてありますし、
 そもそも解答用紙に裏があることは
 最初に注意され、また問題用紙の表紙にも書いてあり、
 当然ながら県教委が本気で意地悪をしているわけではありません(^_^;)。
 冷静にやっていれば普通に分かることです。
 しかし、入試での緊張や、特色化の解答時間の余裕のなさを考慮すれば、
 不幸にして見落としてしまう生徒がいても、不思議なことではありません。)
 
 
そんなことはこの仕事をずっとやっているこちら側は
当然分かっていることなので、
我が塾で6回やった「そっくり演習」も全部その書式ですし
(6番を必ず6ページで終わらせ、無理にでも7番だけが7ページに独立して来るように
 毎回編集するのは、ほんのちょっとだけ面倒な作業ではありました)
5年分の特色化過去問も、
本番と同じ形に構成してある冊子&解答用紙で
やってもらいました。
(ただしいずれも6ページ一番下の「7ページに問題が続きます」という注意書きは省きました)
そして例年、「そっくり演習」の初回は、
敢えて何も注意喚起せずにやっています。
(ただ、今年はその前に「ネタバレ」してしまっていた(苦笑))
すると必ず「社会の7番を解き忘れた」という生徒が出ます。
(もしこれを卒業生が読んでいれば、PCの前で「自分もそれをやった」と叫んでいる子が複数いるでしょう(笑))
(ちなみに今年もネタバレしていない生徒が1人だけいて、「見事に」やっちゃってました)
それが分かったとき、彼らは一瞬だけ愕然とするのですが、
「これが塾の演習でよかったよね」ということで
ほっと胸をなで下ろし、
次からの塾の演習ではちゃんと気をつけるようになります。
そうやって実際に
塾の予行演習で「失敗」を体験しておくから
あるいは失敗した仲間の姿を見るから、
本番では同じ失敗を繰り返さないわけです。
 
 
・・・などとちょっとエラそうに書いてみましたが、
これくらいのことは、
「入試対策」に熱心な塾なら
規模の大小を問わずやっているでしょう。
真剣に入試対策を考えている塾なら、
彼ら塾生が「不慣れ」のために
せっかく培った実力を十分に発揮できないという事態は
絶対に避けたいと考えますから、
そういう細かいところにもこだわるでしょう。
・・・と思うのですが、
そういう細かいことを気にしていないところも
(私の知る限りでは)結構あるようです。
とはいえ、これはそれぞれの塾のやり方ですから
私が正しいと主張したいわけではありません。
また、その細かいこだわりが「集客」に繋がるのかと言えば
大多数の保護者の皆さまには
こういう細かい「違い」「こだわり」「配慮」は
必ずしも伝えきれていないだろうなあと思います
でも、そんな損得が問題なんじゃありません。
生徒のことを考えてやっているかどうか
それだけの話です。
 
 
なにはともあれ、特色化選抜は終わりました。
今年の受験生にとっても終わったことですし、
(明日からは前を向いて一般選抜対策だ。)
私たちのような周囲にいる関係者にとっても
(来春以降もうないという意味も含めて)終わった話になりました。
この11年間、振り回された受験生は可哀想でしたが、
その間も繰り返されたいくつかの制度変更も含めて、
私たち塾の人間が「試された」のもまた事実でした。
かくいう私も、特色化選抜との11年にわたる格闘の中で
反省点がいくつか出てきました。
これまでもそれらの反省は逐次生かしてきましたが、
特色化廃止後の今後の指導にも、
これらをさらに応用して生かすことを誓います。
 
 
 
 
 
 
最後は何だか堅苦しくなってしまいましたが、
受験生(厳密には受検生)の皆さん、まずはお疲れさまでした。
明日からは一般選抜に向けて
気持ちを切り替えていきましょう。
ついでに同業者の皆さんも、お疲れさまでした。
次は一般選抜対策ですな。