
第17期生の入試が終わった。
毎年「帰りに寄ってくれてもいいよ」と伝えていて、
誰か彼かが塾に寄ってくれるのだが、
今年は入れ替わり立ち替わりほとんどの子が寄ってくれた。
塾生全員が面接のない高校を受験したというのも
影響しているかもしれない。
今年は、いや去年に続いて今年も、
独自検査を受ける生徒はウチにはいないので、
学力検査が終わった段階で無事全員終了というのも
あるかもしれない。
一人、来られなかった子も、こちらから電話する前に
自分から電話をかけてきてくれた。
この子は朝、現地で会ったときに緊張していたようなので
少しだけ心配していたのだが
電話の向こうの声が弾んでいて
やりきったという充実感が伝わってきたから安心した。
そんなこんなで入試当日のルーティンワーク
-当日の夕方から夜にかけて、
塾に立ち寄らなかった生徒たち全員に電話をかけ、
ねぎらいの言葉を届けるというお仕事-が、
今年は不要になってしまった。
そのために、公立高校入試の夜は
いつも授業を空けてきたのだが。
もちろん、嬉しいことだ。
第17期生も、大好きな子たちだった。
本当に、いい子たちだった。
話を戻す。
当たり前だが、問題を見せてもらえれば
英語のリスニング以外の解答は分かるので、
(リスニングは問題を聴くか台本を見ないことには分からない)
彼らとその場で気楽に解答を確認しあう。
数学から難問が消えたのは
設問ごとの正答率で0%という問題もあったという
(県教委調べ。抽出調査&小数点以下四捨五入だから、実際には正答者もいたと思うが)
去年の反動だろう。
この流れはある程度予想されたことだった。
(だから最後の本番模擬演習も今年はやや易しめに作ったのだ)
ある程度の力がある子なら、
解こうと思えば全部解けるという
岐阜県らしい問題構成に戻る。
あとは時間との戦い、そしてシンプルに考えられるかどうか。
しかし、これができない子には、なかなか難しい。
国語について「易しかった」とほぼ全員が口を揃えていたが、
塾でやってきた演習がやや難しかったのを割り引いても
まあそんなものだろうと自分も見て思った。
国語が苦手でいつも苦戦していたのに
20分も余ったという某君。
さすがに余り過ぎのような気がして
最後までちゃんと解答したのか心配になるが(^_^;)
解答用紙が埋まっていなければ分かるはずで
昔の特色化選抜の問題で話題になった
「裏の問題をやり忘れた」というようなことはないだろう。
ああ、念のために書いておくと、ウチの塾生は特色化選抜に対しても本番書式で何度も対策してたから、
本番でそんな子はいなかったですよ。事前の塾内演習ではお約束のようにやり忘れが出ましたが(笑)。
理科や社会は例年通りかなあ。
理科は例年以上に易しかったようにも感じるから、
得意な子にとっては逆に可哀想な流れとも言える。
理科から「面白い」問題が消えて久しい。
昔のように「魚のひれを残らず全部描け」とか、
「じゃがいもが地下にできた様子を描け」なんて問題で
こっちをびっくりさせてほしい気も(少しだけ)するけど、
受験生にとってはNo,thank you.だよなあ。
社会といえば、
岐阜県の問題作成者のワシントン会議へのこだわりは、
いったい何だろう(・_・)
過去問をやっていれば解けるので、別にいいんだけどね・・・。
その他、台風の高潮を答えさせるのに
わざわざ海上埋め立て空港を持ち出す必要があるのかとか
地形図を出しておいて
実際に本当にそこから読み取る問題は
航空写真を使った1問だけかいとか、
ヒートアイランド現象を訊くのはいいけど
そのために使う資料が今から四半世紀前(!)の
1989年の桜の開花資料ってどうなのよとか、
細かい突っ込みどころは満載だが、
そんなことは受験生には関係ないので
ここにメモ代わりに書いておくだけである。
いずれにしても、入試は終わった。
彼らとこうして話をするのは
自己採点して点数を確認したいからじゃない。
(夕方の時点じゃ正式な配点も分からないし。まあだいたい予想はつくけど)
点数はいずれ開示請求ができるようになってから
本物を聞きに行ってもらえればいいこと。
それより何より、
彼らが終わってほっとしている姿を見たい。
彼らが来てくれれば直接「おつかれさま」と言える。
「よく頑張ったね」と言える。
「まあ大丈夫じゃないかな」と言える。
昨日までの「先生と生徒」とは違って、
今日からの自分は、彼らに対してはくだけたものだ。
昨日も彼らに言ったとおり、
卒業したら彼らとはもう、先生と生徒ではない。
友人と言ったら彼らが引くかもしれないので(苦笑)
タダの知り合いどうしといったところだ。
卒業した彼らに先生面をするつもりなど毛頭ない。
そこらへんにいる「気さくなおっさん」(当社比)になって、
彼らには「来週水曜日まで、思いっきり休んでほしい」
そう伝えて帰すのだった。
みんな笑顔で帰って行く。
毎年、この瞬間が何も考えず一番幸せである。
合格発表の日に会えば、
今度は次を見据えた(ちょっと真面目な)話もするから。
夜になって一人で解答速報の録画をみる。
昨年も書いたが、解答速報を見るのは
某塾の彼らが出す難易度の見解と
予想平均を確かめるためである。
(彼らが出す予想平均については、いずれまた「答え合わせ」をして記事にしておこう)
今年については、各教科の難易度に関する見解はほぼ一致。
しかし、合計の平均がどうなるかと言われれば
自分には正直分からない。
これは彼らも結構外しているんだよなあ。
(詳しくは昨年の今頃書いた この記事 へ)
彼らにしても、
各教科の平均を合計しているだけだろうから
1教科外しただけでアウトという面もあるんだよね。
ぼんやり見ていて気がつけば番組も終盤。
最後の宣伝コーナーの構成が去年までと変わり
より長くなっていることに苦笑しながらテレビを切った。
そうそう、順番が前後するが、
今朝は東高へ現地応援に出かけたのだった。
近くに車を駐める場所などないので、
朝7時過ぎに1kmほど離れた市営本町駐車場へ。
行ってみると3/31で閉鎖だという。まあ、あの小さな駐車場に管理人を常駐させていてはなあ。
○鉄協○のような管理業者に委託すればいいのに(各務原市などはそうしている)。
といっても利用者そのものが少ないか。来年からどうするかなあ。
車を降り、「旗」を片手に南へ向かって歩く。
午前7時20分頃には正門前に到着した。
以前なら大小数塾の関係者が入り乱れて応援していた
入試当日朝の高校前だが、
某大手も含めて、
最近のこの地区では応援を遠慮しているところが多い。
自分が高校前に応援に行くようになった20年弱の歴史を振り返ると、
遠慮しているのではなく「衰退」して来なくなった塾もある。この業界の栄枯盛衰を感じる。
今日も塾名を明らかにし、横断幕やのぼりを用意して
派手に応援していたところは、1つだけだった。
以前と違って比較的平穏な今の姿のほうが、
彼らの顔を見て励ましたいだけの自分には都合がよい。
高校の門前が塾どうしの宣伝合戦の場になるなら、やらない方がいいと思う。
自分が紙製の「旗」を広げていたのは、塾生たちを見つけた後、彼らに見せるときだけ。
まあ、ウチの塾をあの場で宣伝したところで
90%の生徒にとってはどこの塾?ということになるが(苦笑)。
現地に着いてしばらくしてから、
最初のほうに書いた不安げな女子が登場。
ところが、随分早い時間に自転車で現地に行くつもりだと
昨日宣言していた男子生徒たちが、なかなか来ない。
やがて、中学校の先生が事前に指定した
7時50分という集合時刻がやってきた。
こりゃまずいことになってきたぞと、
開塾2年目の同じく東高での出来事が頭をよぎったが
(これについては詳細を書いた過去記事があったはずだが、見あたらないので見つかったらまたリンクしておく)
それを深刻に考える間もなく、彼らは登場した。
高校側の定める正式な集合時刻は8時20分だから、公式には遅刻でも何でもないのだが、
ほんのちょっと、お騒がせな子たちである。中学校の先生も心配されたことだろう。
とりあえず握手し、励ます。
自転車置場は敷地の中の道路沿いだから、
彼らが門をくぐったあとも、外から声をかける。
先述の某塾は、
一通り生徒たちが入っていったらそそくさと撤収していたが、
自分はその後もなお、現地にとどまり
彼らが体育館の外の階段を上がって中に入るそのときまで、
校地の外から見守っていた。
夕方訊いたら、旗を持ってそのまま立っていた自分に
一人の生徒は気付いてくれていたそうだから、本望である。
やがて、自分の学校の受験生たちの到着を確認し終えた
中学校の先生たちも、一斉に撤収を開始。
ところが1人だけ、
お帰りにならない先生がいらっしゃる。
どうもまだ来ていない受験生がいる様子だった。
どこかと電話で連絡を取り合っている。
ウチの生徒でなくてもこういう事態はとても気になるが
その子も無事に受験できていることを祈りつつ
現場を去ることにした。
先述した十数年前の東高では、今日のように見送ったあともぼーっと立っていた自分が
見知らぬ受験生のほんのちょっとしたお役に立てた事態があったのだが
今年は高校の先生も引っ込むことなくずっと門の近くに詰めていたので
自分の出る幕もなさそうだと思って帰ったのだった。
ちなみに十数年前のその子が合格したかどうかは、もちろん知らない。
そんなことを書いていて思ったが、自分は余計なお世話がやや好きな人間である。
または暇人とも言う。
帰り道は他校を受験した塾生たちのことばかり気にしていた。
この塾は全職員総出で繰り出しても
ただ1校にしか応援に行けない。
その1校をどこにするかは、
「受ける塾生の多いところ」「倍率の高いところ」など
その年によって判断基準が違うのだが、
今年も北高や商業には行けなかった。
来年以降も、どこか1つに行くことになると思うが、
このときばかりは、
分身の術が使えたら便利なのになあと思うのだった。
彼らの受験が終わり、新年度へと移行。
おかげさまで、
今年もそれなりのお申し込みをいただいている。
新しいメンバーとともに、新しい物語がまた始まる。